2019.09.02
重症な患者に対応する「急性期病院」の経営コンサルティングなどを行う株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC※1=本社・東京都新宿区、代表取締役社長・渡辺幸子)は10月1日、患者の重症度に応じた複数の入院機能を備えた「ケアミックス病院※2」の経営分析サービス「病床機能分析(仮称)」の提供を開始します。
入院患者の重症度の変化に合わせた「ベッドコントロール(病床管理)」は、ケアミックス病院にとって、年間数千万円の収益を左右する重要な経営課題の一つ。「病床機能分析」を利用する病院は、GHCのこれまでのコンサルティングノウハウに加えて、GHCが保有する300超のケアミックス病院のデータと比較することで、最適な病床管理を実施できるようになります。
入院医療の機能は、患者の重症度順に「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の大きく4つに分かれます。ただ、入院医療は現状、収益の高い急性期の機能を持つ病院が多く、「急性期病床過剰」の状態にあります。そのため、国は急性期病床を最適化するための各種政策を推進。これを受けて、急性期病床の一部を「回復期」の機能に相当する「地域包括ケア病棟」や「回復期リハビリテーション病棟」へ転換することで、新たにケアミックス病院として展開する病院が急増しています。
今回の新サービス「病床機能分析」は、こうしたケアミックス病院に対して、データ分析を活用することで、最適な病床管理の実現を支援します。
「病床機能分析」は、多機能型経営分析ツール「病院ダッシュボードχ(カイ)※3」の新たなオプションサービスです。「病床機能分析」を活用することで、どの疾患の患者を、どのタイミングで、どの機能の病棟へ転棟(退院)させるべきかが、データで示されます。データは、300超のケアミックス病院と比較したデータのため、疾患ごとに自病院の転棟(退院)のタイミングが最適か否かを瞬時に判断することができます。
例えば、脳疾患の患者について、自病院と他病院の転棟タイミングを比較して、大きな開きがあれば、転棟タイミングを見直し、医療の質向上や経営の効率化を促すというようなことができるようになります。
どの疾患の患者をどのタイミングで転棟させると、収益にどのような影響を与えるのかをデータで可視化しつつ予測できる「転棟シミュレーション」の機能も実装。「患者フロー分析」では、自病院の急性期病床からの転棟や、他病院から地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟へ直接入院する患者の状況を、重要度や症例割合で簡単に把握することができます。
「病床機能分析」を開発したGHCコンサルタントの大田友和は、以下のようにコメントしています。
「急性期病床最適化の医療政策を背景に、ここ数年でケアミックス病院は急増しています。病床管理は、入院医療の4割を占める入院基本料にかかわる重要な経営課題で、特にケアミックス病院では改善の余地が大きい。一方、多くの病院は我流で病床管理を行っているため、病院によっては大きな改善効果が期待できるケースも少なくありません。急性期病床のみの展開からケアミックス病床への転換を目指したある400床台の病院のコンサルティングでは、年間7200万円の増収に成功した事例(※4)もあります。
『病床機能分析』は、こうしたこれまでのコンサルティングノウハウを生かして開発しました。また、300超あるケアミックス病院のベンチマークデータは、ほかにはない国内最大規模のもので、病床規模別、設立母体別、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟のありなしなど、さまざまな条件で、高い精度を持って最適な『解』を導き出すことができます」
当社は今後も、ケアミックス病院に向けたサービスを強化していきます。「病床機能分析」においては、引き続き地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟の分析メニューを強化。さらには高度急性期の機能である「ICU(集中治療室)」「HCUは(高度治療室)」「SCU(脳卒中ケアユニット)」「ER(救急救命室)」などの分析メニューも順次、追加する計画です。
(※1)(※1)Global Health Consulting Japan Co., Ltd.
医療専門職、ヘルスケア企業出身者、IT専門家らで構成される経営コンサルティングファーム。急速な高齢化で社会保障財政の破たんが懸念される中、「質の高い医療を最適なコストで」という理念を実践する具体的な手法として、米国流の医療マネジメント手法「ベンチマーク分析」を日本に初めて持ち込み、広めたパイオニアです。
(※2)ケアミックス病院
入院医療における「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の複数の機能をもった病棟を指す。「回復期」の機能に相当する「地域包括ケア病棟」および「回復期リハビリテーション病棟」はここ最近、急増。地域包括ケア病棟協会の調べによると、地域包括ケア病棟を算定する病院は制度が始まった5年前と比べて、10倍以上の2452病院(2019年6月時点)。回復期リハビリテーション病棟協会によると、回復期リハビリテーション病棟の届け出数は5年前と比べて、2割増の1905病棟(2018年10月時点)。
(※3)
15年間のデータ分析に基づく病院経営コンサルティングで培ってきたノウハウをベースとする多機能型経営分析ツール。高度急性期病院の4割への導入実績がある。「DPC分析」を軸とする基本サービスのほか、「外来分析」などのオプションサービスで構成される。今回の「病床機能分析」はオプションの新サービス。
(※4)事例紹介
「地域包括ケア病棟」導入で7200万円増収、看護師の残業も大幅減
広報部 | |
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。 |
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