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2024.10.21

常識に囚われない、不確実性の時代における病院経営のポイント―中村が国立病院総合医学会で講演

 グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は10月18日から開催の第78回国立病院総合医学会のランチョンセミナーで、「常識に囚われない 〜不確実性の時代における病院経営のポイント〜」と題して講演しました。演者はGHCマネジャーの中村伸太郎(写真上)、座長はGHC代表取締役社長のSachiko WATANABE(写真下)が務めました。





 病院経営は、病床稼働向上、増患対策、充実した医療やケアの実施、加算算定強化、コスト削減などの「経営改善、医療の質向上」への取り組みが欠かせません。一方、医師時間外労働の上限規制、働きやすく働きがいのある勤務環境整備(離職率の改善、医療スタッフの確保、人財育成・教育)など「働き方改革」への対応も欠かせません。





 中村はこれからの病院経営について、こうした「経営改善、医療の質向上」と「働き方改革」を両立し続けることが必須であると指摘した上で、(1)戦略的な「集患対策」と「病床管理」(2)多職種協働による「生産性向上」(3)全体最適を推進する「医療介護連携」――のアジェンダにそって、具体的な事例やデータ分析を交えながら経営改善の手順を解説しました。


 最初に説明した「戦略的な『集患対策』」では、「戦略的」とあえて付け加えている理由として、集患対策は常に競合の存在を意識しつつ実施する必要があるためと指摘。地域連携による紹介や逆紹介の活動の優先順位を付ける上で重要なことは、「どの診療科のどの疾患の紹介患者が、どのクリニック経由で増減しているのか」など、紹介・逆紹介の明確な数字をしっかりと把握することです。そうすることで、想像ではなく、明確な事実に基づいた実効性のある集患対策を立てられます。





 こうした集患対策の具体的な進め方の手順を、1000病院超のDPC病院のデータに基づくベンチマーク分析を交えながら、分かりやすく、詳しく解説しました。データ分析にはGHCが開発・販売する病院経営支援システム「(カイ)」の地域連携の状況を分析する機能「地域連携分析」あるいは完全無料の経営分析ツール「病院ダッシュボードχ ZERO」を用いました。


 これからの病院経営に「」、「病院ダッシュボードχ ZERO」などのシステムを利用することの意義について中村は、「スピーディーに自病院の状況を把握し、他病院と比較することで、タイムリーで適切な改善活動を継続して推進できる」と述べました。また、データ分析をすることの意義についても触れ、データ分析は現状把握のみではなく、現状を把握した上で改善活動のプロセスを可視化し、それらを仕組み化することで、継続的な改善活動を推進する土台が築けると訴えました。


 なお、DPC分析ソフト「EVE」や「」、「病院ダッシュボードχ ZERO」を利用する病院は、毎月発行する経営分析レポート「」を無料で購読することが可能です。ご購読がまだの方はこちらよりお申し込みください。「病院ダッシュボードχ ZERO」のお申し込みはこちら。。


 本ランチョンセミナーは250席が早々に埋まり、ほぼ満席の大盛況となりました。講演では終始、うなずいたりメモを取ったりする人たちが見受けられました。


渡辺さちこ(わたなべ・さちこ)

代表取締役社長。看護師として病院勤務後、慶應義塾大学経済学部、米国ミシガン大学で医療経営学・応用経済学の修士号を取得。帰国後、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社コンサルティング事業部などを経て2004年3月、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン設立。全国1000病院以上の経営指標となるデータの分析を行っている。

中村 伸太郎(なかむら・しんたろう)

コンサルティング部門マネジャー。東京工業大学 大学院 理工学研究科 材料工学専攻 修士課程卒業。DPC分析、財務分析、事業戦略立案、看護必要度分析、リハ分析、病床戦略検討などを得意とし、全国の病院改善プロジェクトに従事。日本病院会が出来高算定病院向けに提供するシステム「」の社内プロジェクトリーダーも務める。