2024.03.05
日本病院会は2月13日、「中小出来高病院経営管理者向け研修会」をオンラインによるweb形式で開催。131病院、186人の申込みがありました。
演者は、中央社会保険医療協議会の前委員で日本病院会副会長の島弘志氏(社会医療法人天神会総病院長)、医療法人社団東山会の小川聡子理事長、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)のコンサルタントでマネジャーの中村伸太郎が務めました。
講演では、中小出来高病院がどのように診療報酬改定に対応していくべきかをテーマに、各演者がさまざまな見解を述べました。
同研修会は、日本病院会の会員病院で、出来高算定病院が対象です。
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研修会では、島氏が「中小出来高病院における診療報酬改定への備え」と題して講演。今回の改定の柱である(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革の推進(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進(3)安心・安全で質の高い医療の提供(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上――の4つを軸にしつつ、中小出来高病院が着目すべき項目にポイントを絞り込みました。
今回の改定の重点課題は、(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革の推進。中でも中小出来高病院が着目すべきポイントとして、「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」および「入院ベースアップ評価料」の新設、「看護職員処遇改善評価料」や「初再診料等」および「入院基本料等」の見直しなどを解説しました。
続いて、小川氏が「地域密着型中小病院と診療報酬改定―生活支援型急性期病院の存在意義とは―(かかりつけ医を支援する在宅療養支援病院)」と題して講演。診療報酬改定や制度そのものが中小病院の経営にどのような影響をもたらすのか、またどういったスタンスで改定内容を読み解き、対応していけばいいのか、自病院の状況を踏まえながら解説しました。
医療法人社団東山会は、東京都北多摩南部で、調布東山病院(調布市、83床)を軸に、2つのクリニック、訪問看護ステーション、居宅介護事業所を保有。生活支援型急性期医療、予防医療、透析医療、在宅医療の4つのドメインで医療を展開しています。
生活支援型急性期医療とは、東山会が2016年から掲げているもので、救急医療と介護のニーズが一体となった虚弱高齢者に対する包括的なサービス。地域の需要に対応したサービスですが、収益的には厳しい状況で、急性期医療の収益は年々増加しているものの、赤字が続いています。調布東山病院の2023年度における平均在院日数は11.9日、年間の救急車受け入れ台数は3000台という状況ながら、内科系高齢者救急が多く、目指す入院基本料の施設基準を満たせないなどの課題を抱えているためです。そのため、地域密着型中小病院の頑張りを適切に評価できる制度設計の必要性を訴えました。
中村は「中小出来高病院における改定対応のすすめ方」と題して講演。JHAstisの経営分析レポートの活用方法を交えつつ、▽急性期関連▽回復期・療養関連▽同時改定を追い風にするために――のアジェンダにそって解説。JHAstisについて、「自病院の立ち位置が分かる」「自病院の値を診療科単位等で深掘りしてダウンロードできる」などの強みを紹介し、無料トライアル受付中であることを紹介しました。
閉会の挨拶をした日本病院会副会長の大道道大氏は、「日本病院会は大病院の集まりだと思われている方もいるが、半数以上が中小病院。JHAstisを利用していない中小病院の関係者は、ぜひJHAstisを活用して経営改善に役立ててもらいたい」としました。
東京工業大学 大学院 理工学研究科 材料工学専攻 修士課程卒業。DPC分析、財務分析、事業戦略立案、看護必要度分析、リハ分析、病床戦略検討などを得意とし、全国の医療機関における複数の改善プロジェクトに従事。入退院サポートセンター開設支援、病院再編・統合、病院職員の生産性向上など社内の新規事業プロジェクトを担当する。
広報部 | |
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。 |
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