病院経営コラム

2020年10月30日

DPC病院なら絶対に知るべき「機能評価係数II」対策の基本


グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は8月27日、「病院ダッシュボードχ(カイ)」のユーザー向けウェブセミナー「病院ダッシュボードχで学ぶGHC病院経営データ分析塾」を東京都内で開催しました。


「GHC病院経営データ分析塾」とは


「GHC病院経営データ分析塾」は、医療情報分析の基礎を学ぶための勉強会。入職・異動間もない医事課、経営企画(戦略室)、診療情報管理室、診療部門・技術部門で実際にデータを扱う病院職員が対象です。


経営改善に欠かせない知識を身に付け、使えるデータ分析資料を作成できるようになることが目的。すべての会に参加する必要はなく、ご希望の会のみ受講することもできます。


今回のテーマは機能評価係数II。当日のアジェンダは以下の通りです


アジェンダ

今回はこのうち、「個別係数の対策」の講演の一部をお伝えします。


機能評価係数IIは、診療内容などで病院の「急性期らしさ」を評価する係数です。2018年度診療報酬改定で、機能評価係数IIは▼保険診療▼効率性▼複雑性▼救急医療▼カバー率▼地域医療―の6つに整理しなおされました。


これらのうち、とくに院内の改善活動で向上可能な係数は▼複雑性▼救急医療▼カバー率▼効率性―の4係数です。 「」を活用することで、これら係数の課題を突き止め、改善の緒を掴むことができます(図表1)。 これらの対策について▼何をすれば係数が上がるのか▼病院ダッシュボードχでどこまでできるのか▼病院ダッシュボードχの結果をどう活用したらいいのか―を解説しました。


図表1:ベンチマーク分析を軸に課題が分かる
図表1:ベンチマーク分析を軸に課題が分かる

複雑性係数


複雑性係数を高くするためには、「包括範囲出来高点数が全国的に高い診断群分類」の入院件数を増やす必要があります。手術や処置だけでなく、副傷病にまで着目して診断群分類を正しく選ぶことが重要です。「」では、「副傷病をチェックした割合」を他病院と比較する機能を搭載。副傷病のチェック漏れがないかなどを確認できます。


図表2:「副傷病をチェックした割合」を他病院と比較できる
図表2:「副傷病をチェックした割合」を他病院と比較できる

救急医療係数


救急医療係数を高める上で重要なことは、「救急医療管理加算」の算定件数を増加することです。「」を使えば、▼緊急入院(予定外)患者のうち何%に「救急医療管理加算」を算定できているか▼特定の診断群分類について、他病院が「どのような状態の患者について「救急医療管理加算」を算定しているか―などが明らかになり、具体的な対策につなげることができます。


図表3:特定の診断群分類の救急医療入院の割合を他病院と比較できる
図表3:特定の診断群分類の救急医療入院の割合を他病院と比較できる

カバー率係数


カバー率係数は、入院実績が「年間12症例以上」の診断群分類の数(DPCコード数)が多いほど高くなります。「」で月当たり1症例(=年12症例)前後の診断群分類を把握でき、次のアクションにつなげられます。


図表4:月当たり1症例(=年12症例)前後の診断群分類を瞬時に把握できる
図表4:月当たり1症例(=年12症例)前後の診断群分類を瞬時に把握できる

効率性係数


効率性係数をアップさせるためには、闇雲に在院日数を短縮させるのではなく、「全国での症例数が多い診断群分類に着目して、その在院日数をコントロールする」ことが必要です。病床稼働率とのバランスに注意しながらも、適切な在院日数コントロールを目指すことになります。「」では、特にコントロールすべき在院日数を診断群分類別に確認して、自病院と他病院の在院期間の違いを把握できます。


図表5:全国での症例数が多い診断群分類に着目して改善点を探れる
図表5:全国での症例数が多い診断群分類に着目して改善点を探れる


太田 衛(おおた・まもる)

Multi Disciplinary マネジャー。診療放射線技師。大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学修士課程修了。大阪大学医学部発バイオベンチャー企業、クリニック事務長兼放射線・臨床検査部長を経て、GHC入社。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、「」の開発を統括する。マーケティング活動にも従事。新聞や雑誌の取材・執筆多数。