事例紹介

2014年02月12日

地域で実りある医療を提供 頼られる病院になることが一番

病院名 津島市民病院 設立母体 公立病院
エリア 東海地方 病床数 440
病院名 津島市民病院
設立母体 公立病院
エリア 東海地方
病床数 440
コンサルティング期間 1年間
Hospital Management - Consulting Services
  • ・委託コスト削減

 愛知県津島市にある津島市民病院は、一般病床375床、回復期リハビリテーション病床47床、緩和ケア病床18床の合計440床を有する、海部医療圏(津島市・愛西市・弥富市・あま市・海部郡)の基幹病院であり、2011年4月からDPC対象病院となっています。また、同規模の病院では全国的にも珍しく、地元住民60~70人ものボランティアによるサポートがあります。

 2013年2月から、弊社のマネジャー本橋大樹とコンサルタント八木保がコンサルティングを開始し、松崎安孝院長と山田悦男事務局長のリーダーシップのもと、職員が一丸となり、院内の各部署の協力を得て外部委託のコスト削減などを実現しました。今回は、松崎安孝院長と山田悦男事務局長に、組織を活性化しながらのコスト削減の取り組みについてお話しをうかがいました。

削減効果、年間換算で約5,000万円!!

―弊社にコンサルティングをご依頼してくださったきっかけから教えてください。

松崎院長 自治体病院は、地域において、信頼される病院になることが一番だと思っています。そのためには収支を健全化し経営を安定させることが不可欠ですが、当院は多くの自治体病院と同様に各種経費の問題を抱えていたので、『委託コスト削減プログラム』に取り組んでいるGHCにコンサルティングをお願いしました。

松崎院長

山田事務局長 私は、ベンチマーク分析が非常に重要だと考えていました。当院では従来から事業者と価格交渉し、価格を下げる取り組みをしていましたが、さらなるコスト削減をするためには、ベンチマークに基づいた価格交渉をしなければならないと考えていました。GHCのプログラムには、「コスト削減成果保証」(年間換算コスト削減金額が契約金額を上回る保証)があり、確実に成果が上がると考え、コンサルティングをお願いしました。

―委託関連のコスト削減効果は年間換算で約5,000万円となりました。ベンチマーク分析に加え、事務局の方々による交渉の結果であり、院長先生と事務局長のリーダーシップとご協力無しでは実現できなかったと思います。

松崎院長 成果主義という観点からは、コスト削減のために努力したスタッフには、削減金額の割合に応じて還元する仕組みがあっても良いと考えていますし、コスト削減により生まれた資金を医療資源へ投資し、より手厚く質の高い医療を提供できればと思います。こうした体験をすることによって、費用をどうやって捻出していけば良いかという問題意識を持つことにもつながります。

―コスト削減金額に応じた還元を担当したスタッフへ行っている病院は、自治体病院に限らず、医療法人(民間病院)でも少ないのが現状です。しかし、コスト削減によって生まれた資金を他分野への投資や新機器の購入に充てることは、コスト削減に携わったスタッフのモチベーションを確実に向上させると思います。

褒めることでスタッフは変わる!!

―GHCのコンサルティングにより、院内にはどのような変化がありましたか?

松崎院長 職員にコスト意識が芽生えました。用度の担当職員からも、「事業者との値下げ交渉をもっと頑張りたい」という発言も出るようになり、職員たちが自主的にコスト削減に取り組もうという雰囲気になってきたのです。これは、今回の取り組みの成果の一つだと考えています。やはり、誰でも褒められるのは嬉しいですから。今後も積極的に取り組んだ職員に対して感謝の気持ちを伝え、更なるやる気を引き出していきたいと考えています。

山田事務局長 担当部署への報告やヒアリングなどを実施していただく際には、院長と共に毎回参加しました。これは、今回の取り組みは、担当部署の問題ということではなく、病院全体の問題だと考えていたからです。

山田事務局長

―コスト削減が達成できたのは、職員ひとりひとりの努力の賜物だということを病院全体で共有していただくことによって、コスト削減に対する更なる意欲の向上へとつながっていくと思います。

地域のニーズにあった医療の提供を!

―今後どのような病院をめざしていきたいですか?

松崎院長 現在、400床規模の病院としては入院単価が低く、病床稼働率も不安定な状況にあるので、それを改善していきたいと考えています。これまでは、医師たちの「こうした診療や治療をやっていきたい」という意思を中心に病院運営に取り組んでまいりましたが、今後は、もっと視野を広げ、地域で必要とされているニーズを見極め、それに沿った医療を提供するための体制を構築していく時期に来ていると思います。

 そこで、重要になるのが、現在ある回復期リハビリテーション病床(47床)と緩和ケア病床(18床)であり、有効に活用したいと考えています。また、津島市が積極的に取り組んでいる在宅医療へも力を入れており、既に在宅支援チームを作り、対応しています。地域にはさまざまなニーズがあるので、それらに丁寧に応え、色々なところを取り込んで、少し特徴を持って強みを出していく。そのような医療の提供に努めていきたいです。

山田事務局長 今後も地域の基幹病院の機能を維持するために、医師や看護師をさらに確保し、医療の質を上げ、地域の中で必要とされる役割を担い、職員一人あたりの医業収益を上げていくことが必要不可欠だと考えています。 現在の医業収益は約75億円程度ですが、将来的には100億円が達成できればと考えています。病院全体の力をつけ、しっかりとした地盤を築いていきたいです。

 また最近、当院に対する評判が良くなってきていることを肌で感じています。嬉しかったのは、ある市民から、「市民病院は変わったよ。一人ひとりが玄関に立っていて、笑顔で『こんにちは』って言ってくれる」といった話を耳にしたことです。こうした取り組みは、最近始めたことですが、それだけでも市民の印象が変わるのだと思いました。今後もこうした小さな取り組みを重ねていきたいと思います。

―お忙しいところ、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。


津島市民病院
〒496-8537 愛知県津島市橘町3丁目73番地
TEL:0567-28-5151 FAX:0567-28-5053
http://www.tsushimacity-hp.jp/


広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。