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2007年03月20日

板橋中央総合病院●東靖隆事務長

表層的なサービスよりも、医療という本質を



 昨年で開院50周年を迎えた、板橋中央総合病院。「愛し愛される病院」を理念に掲げる同院が、開院50周年の記念事業として行ったのが、病院運営に対する論文・アイデアの募集です。今回は、東事務長にご登場いただき、数多寄せられた論文・アイデアを受けたうえでどのような病院をめざしているのか、話を聞きました。

――職員には「IMSグループへの期待とこれからの病院経営」というテーマで、外部の方に対しては「こんな病院があったらいいのに!」など自由なテーマで募集されて、合計300編ほどが集まったそうですね。

 そうですね。職員については医療サービスを提供する側からの視点で「病院とはどうあるべきか」について書いてもらいました。外部の方からも結構たくさんいただきました。なかには、「こんな募集をするのはどんな病院なのか」と、わざわざ見にいらしゃった方もいたそうです。  今回の論文の募集において、患者さんに対しては、病院に何を求めているのかという深層心理を探るということと、私どものグループを知っていただくという、2つの意味があったと思います。また、50周年の記念事業として、最優秀賞には賞金50万円、優秀賞30万円、入賞10万円と、賞も用意しました。

――多く寄せられた論文・アイデアのなかで、何か印象深かったものはありますか?

 僕が良いと思ったのは、「これからの病院はこうあってほしい」というテーマで書かれたもの。この方は、「下手なサービスよりも、医療という本質的な部分を追求してほしい」と訴えているんですね。表層的なサービではなく、患者は病気を治してほしいんだということ。それはそうだなと、改めて思いました。  医療がまず基盤にあって、部屋の環境や綺麗さ、職員の対応・マナーなどはあくまでもその上にある。やはり質の基盤になるのは、根本的な治療の力です。もちろん、アメニティーやサービスも必要なので、ないがしろにするつもりはありませんが、医療というベースがあって、その上に積み重なって、最大の満足を得られるのかなと…。  集まった論文のなかには医療従事者の患者さんに対する姿勢やサービスについて言及しているものもありましたが、一番大事なのはやっぱり「治す」という力だと思います。建物がどんなに綺麗でも、医者の腕が悪ければ仕方がありません。病院は医療を生業にしていますから、「医療機関として本質的に何ができるか」が最重要課題です。

――患者さんも、その本質の部分を見ているわけですよね。

 ただ、現状では質を測る指標がないので、インターネットや雑誌、本などで必死に収集しようとしていますよね。厚生労働省も情報開示を進めようとしています。でも、DPCデータでさえ、治療の中身を把握するのに十分に熟成されているとは言えない。もう少し年月がかかるでしょうね。GHCさんみたいな方々が、縦・横・斜めにデータを切って評価することで、次第に指標が確立され、可視化されたデータが世の中に出回ってくるのかなと思います。それを患者さんも強く望んでいますから。  病院や医師のランキングがよくありますが、その信頼性についてはまだまだ…。結局、「測れない」というのが現状なので。ただ、厚労省はDPCデータを質を測る道具としても考えているわけですよね? 他院との比較のなかで自院の改善指標になればと思います。


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広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。