GHCブログ

2007年05月22日

特定医療法人敬愛会 中頭病院

●常務理事 玉那覇榮一氏 ●医療情報部部長 知花敬氏

入院させずに、いかに質の高いケアをするか…



 今回のゲストは、沖縄の雄・中頭病院です。言わずと知れた優良病院で、平均在院日数は10日を切り、病床稼働率は常に100%近くという状況だそうです。その強さの秘訣は、どこにああるのでしょうか? 玉那覇常務理事と、知花医療情報部長のお2人に聞きました。 *敬称略

吉川  日本で研究を始めた当初、まだベンチマークという言葉さえも浸透していなかった頃に、ベンチマークの重要性を理解してくれた病院の1つが、中頭病院でした。 知花  それまでは他と比べる手段がなかったので、「自己満足で終わらない」という点に、一番感動したんですよ。 吉川  当時から入院前・入院後ともに、圧倒的に在院日数が短かったのには、本当に驚きました。 玉那覇 当院は、昭和45年に医学部を卒業したメンバーが主体となって創設したのですが、その当時というのは国内の医学部を卒業したら、琉球政府立中部病院ハワイ大学で卒後研修を受けていたんです。つまり、日本と米国という異なる医療風土を体験してきたメンバーなわけです。米国の医療の影響で、もともと「長く入院させる」という考えがないんですよ。 知花  でも、最初にアキさんの話を聞いたときは、ショッキングでしたよ。全国規模で他の病院と比較するなんで、今まで考えられませんでしたから…。米国の医療を熟知しているうえに、サイエンスとしての医療経済学を実際の診療に落とし込めているので、スゴイなと! 玉那覇 昔は医療経営のコンサルティングというと、根性論が多かったですしね(笑)。また、医療と医療経営はそれぞれ別々のものとして単独で考えられがちでしたが、本来は“良い医療”を行う手段として医療経営があるんですよね。そういう意味では、アメリカのほうが調和が取れているように思います。財務面を統括する専門家と、臨床面を管理するメディカル・ディレクターが有機的に結びつきながら、独立している。日本も、理事長はドクターでなければならないという要件をなくさないとなかなかうまくいかないんじゃないでしょうか…。

吉川  ところで、がんの治療は急性期だけでは終わらないため、患者さんは納得のいく医療を提供してくれる病院を探す傾向がありますよね。そうすると、医療圏が塗り替えられるんじゃないかと思うんです。 玉那覇 その通りですよね。当法人では、PET-CTを導入した「がん診断センター」を設立し、沖縄というリゾートの要素を組み合わせて利用者を広く集めようと考えています。ただ、病院の病床に限界があるので、現状、なかなか受け入れを増やせないのですが…。平均在院日数は10日を切っているんですが、病床の稼働率も高くて。今後は、後方病院を有効利用しなければいけませんね。  病床が限られているなか、入院させずにいかに質の高いケアをするか――。これが今年度の目標です。「コントロールがプアーなのか?」ということを検証するためにも、疾病管理(Disease Manegement:DM)を導入する予定です。最終的には、医療の質につながってきますから。ただ、医療の質で難しいのは、私たち医療者が考える質と、患者が考える質は必ずしも一致するわけではないということ。2つの質があるわけです。患者さんにいかに自覚させるかということも、われわれの役割なので、その目安を示すことが必要ですよね。 知花  DMは7月から始めて、その後、疾病ごとに管理を行う予定です。 吉川  他の病院の一歩も二歩も先をいっている感じですね! 玉那覇 病床が限られているので、必要に迫られてやっているだけなんですけれどね(笑)。本当は、病床規制を取っ払ってほしいのですが…!

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広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。