GHCブログ

2007年07月12日

“低密度長期型”から“高密度短期型”へ

 今日も昨日に引き続き、ホスピタルショウに行ってきました。目的は、国際医療福祉大学医療経営管理学科・高橋泰教授のセミナー観戦です。これもMDV主催。ちなみに、高橋教授と言えば、療養病棟のケースミックス発案の中心人物としても知られます。  さて、ご講演の内容ですが、かなり盛りだくさんでした。テーマは、「医療制度改革の展望」。ここではざざっとダイジェストをご紹介いたします。

 日本の医療の最大の課題として、高橋氏が指摘したのが、①さらなる財源を増やすことと、②医療資源の最適化――の2点です。そこで、今後の医療制度改革の流れを端的に表したのが、「“低密度長期型”⇒“高密度短期型”へのシフト」。  この“高密度短期型”医療に向かうために、まず取り組むべきこととして挙げられたのが、開業ブームや療養型への医師・看護師等の移動を止め、急性期の密度を上げること、また、急性期病院の外来を制限することです。  これらの視点から、来年度の診療報酬改定については、「大きな仕組みの変更は特にないだろうけれど、目玉は2つある」と高橋氏は指摘しました。  その一つは、外来の財源を入院にシフトすること。つまり、診療所の再診料を下げるということ。  もう一つは、ジェネリックを強制的に使う仕組みをどこまで打ち出せるか…。  さらにDPCの今後に関しては、「①日割り包括か、1入院包括か?」「②1階建てか、2階建てか?」「③調整係数廃止後の医療機関係数のあり方は?」の3つを議論点として挙げました。それぞれについて、高橋氏の見解は以下の通りです。 ①日割り包括か、1入院包括か? 1入院包括にする可能性は高いが、日割り包括と1入院包括の良い点を合わせた日本に適した支払い方式を議論中で、それを推したい。 ②1階建てか、2階建てか?  大学病院も地域の一般病床も同一の診断群分類を用いて一括運用する「1階建て」ではなく、高度先進医療を担う病棟と地域医療を担う病棟の2段階で運用する「2階建て」パターンが良いだろう。ただし、「一般病床=DPC」で出来高の並存はなくなるだろう。 ③調整係数廃止後の医療機関係数のあり方は?  高度医療や救急医療を行うためのインフラ整備コストと人件費、教育に要するコストを補う形に構築すべき。その際、現行の努力目標5項目がキーポイントになるのでは?


広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。