2008年01月15日
全国共通のフォーマットになったからこそ分析が多様化
済生会吹田病院●医事課 医事企画担当 マネージャー 松木大作 氏
昭和20年の開設以来、24時間体制の救急対応の実施、管理型臨床研修病院の指定取得、開放型病床の活動など、地域の中核病院として医療を提供している済生会吹田病院(500床)。そんな同院は、平成16年にDPC調査協力病院に手上げし、18年に対象病院に移行と、比較的早い段階からDPCに参入した病院の1つです。「DPCが海のものとも山のものともつかない」段階から参加できた、その立役者が医事課医事企画担当マネージャーの松木さんです。今回は、松木さんにDPC導入にまつわる苦労話と今後の展開についてお聞きしました。
――吹田病院さんがDPCに参加されたのは平成16年なんですよね?
当院がDPCの調査協力病院になった平成16年7月、済生会内ではまだ2、3病院しか参加していなかったんです。当時は、「海のものとも、山のものとも…」という感じで、DPCがどういうものか皆わかっていなかったので、多くの病院は様子を見ている状況でした。でも私は、DPCは絶対に必要なものだと個人的に考えていたのです。日帰り手術などは、もともと一種の包括医療でしたよね。そうした経験から、今後、包括に向かっていくだろうと考えていたので、平成11年くらいから勉強を始めて、13年には診療情報管理士の資格も取得しました。
――他に例が少ない状況では大変なこともあったのではないでしょうか?
一人でできるわけではありませんからね。お金も人材も必要です。ギリギリで手上げをして、準備を行いましたが、最初の年は全退院データを提出することはできませんでした。1名人員を補充したのですが、自由診療や自賠責労災の様式1は出来ませんでした。
平成18年には対象病院になりましたが、現在、委託や派遣の入院担当係を正職員に入れ替えているところです。というのは、病棟の担当者のスキルによって、データの精度が変わってしまうからです。委託や派遣さんだと、人が年々変わってしまいますので、常に育成が必要になります。以前は、医事課職員のうち、病棟担当者の1割程度が正職員で、あとは委託でしたが、現在では8割程度になっています。
――DPCに参加後はどのような工夫をされていますか?
現在は「EVE」を使っていますが、EVE導入前から自分でツールを作って、コーディングや出来高との差をチェックしていました。診療内容など、請求に必要な日々の情報をすべてデータベース化して、分析を行っていたのです。これは、私が中心に行っていました。もともと理系なので、こうした統計などが好きなんですね。エクセルやアクセスを使ってデータベースを作成して…という作業が楽しいのです(笑)。
――DPC導入を進めるにあたっては、松木さんのような中心となって引っ張っていく人材は必要なのでしょうね。
やはり核となる人が必要でしょうね。「みんなでやろう」という考えでは無理だと思います。なかなか進みません。ただ、今後は、一人でも多くの職員にEVEを使ってもらって、それぞれの業務の中に活かしてもらいたいと思っています。先日、冨吉さん(GHC)にEVEの操作説明会を実施してもらった際には、医事課だけではなく、看護師や薬剤師、PTなどいろいろな職種のスタッフが参加してくれました。
―-今後、さらなる目標はありますか?
院外の話では、当院は日本DPC協議会の会員で、私はDPC政策提言部会・調査データ検討会に所属しています。そのなかで考えているのが、「DPCデータをもっと改善できないか?」ということです。具体的な話は、まだ明かせないのですが、DPCという全国共通のフォーマットになったからこそ実現できることはたくさんあると思います。
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広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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