GHCブログ

2008年02月05日

“スーパーチューズデー”を斬る!

今、米国では大統領選挙の前に共和党、民主党のそれぞれの候補を決める予備選で慌しいですが、本日2月5日はいよいよ「スーパーチューズデー」です。「スーパーチューズデー」では西のカリフォルニアから東のニューヨークまで、全米22州(党員が選出する総数の約半数)で予備選が行われます。

これまで民主党ではヒラリー・クリントンバラック・オバマ両氏の大接戦が繰り広げられてきました。アキよしかわの息子のアレックス君も今年18歳になり選挙権を得ましたが、カリフォルニアの若きラディカルの彼は「僕は変革を進めるバラックに投票する」と言っています。

初の黒人大統領か!?

医療制度改革をめぐる討論では、やはりヒラリー・クリントンがリードしています。1993年、夫のビル・クリントン政権時に国民皆保険制度樹立を積極的に推し進めたのは、実は当時ファーストレディーであったヒラリーでした。しかし彼女は厳しい政争に巻き込まれ、まさに全身創痍になり、表舞台から退場。国民皆保険制度樹立の動きも頓挫してしまいましたが、ヒラリーは上院議員として経験を積み、15年の歳月をかけて、大統領をめざすまでに復活したのです。まさに臥薪嘗胆ですね。

初の女性大統領か!?

二人の民主党候補、オバマとヒラリーの医療改革に対する考えの違いは、individual mandate、つまり保険制度への加入を義務付けるかどうかです。オバマはボランタリーな形での保険制度への加入を推奨していますが、ヒラリーは15年前と同様に「保険加入の義務付けなくして、国民皆保険はありえない」とのポジションです。

ところで、女性と黒人の一騎打ちという派手な民主党の構図と比べ、ロムニー前マサチューセッツ州知事ハッカビー前アーカンソー州知事マケイン上院議員などの共和党候補は、地味という印象がぬぐえません。理念的に「大きな政府」を否定し、「選択の自由」を唱える共和党にとってヒラリー型のindividual mandateをベースにした皆保険制度は容認できないのですが、皮肉なことに、共和党の有力候補のロムニーもハッカビーも共に州知事としてリベラルな医療制度を実現してきました。特にロムニーがマサチューセッツ州の州知事として実現した州民皆保険制度は、individual mandateを含めてヒラリーの提唱する医療改革の構造とたいへん似通っています。最も評価される実績が、彼の属する共和党の理念と相反し、ヒラリー型であるのは、なんとも皮肉な話です。

共和党予備選でニューハンプシャー、サウスカロライナ両州に続いてフロリダでの接戦を制し保守系本命に躍り出たマケイン上院議員は「共和党でただ一人、イラク戦争を終結できる男」と言われています。マケインはこれまで党派に拘らぬ一匹狼的な言動で知られており、必ずしも共和党サラブレッドの候補ではありません。海軍士官としてベトナム戦争に従軍中、北ベトナム上空で飛行中に撃墜され、5年以上を悪名高い捕虜施設「ハノイ=ヒルトン」の独房で過ごしたマケインはベトナム戦争の英雄として国民的な人気はあります。

8年間のブッシュ政権に対する国民の不満と怒りは強く、11月の本選挙で民主党が勝利する可能性は高いと言われています。アメリカでは大統領が変われば、官庁の局長以上がすげ変わり、首都ワシントンDCの住民が入れ替わります。仮にヒラリー、オバマのどちらかが第44代アメリカ合衆国大統領に就任したら、米国の政策、そして医療はかつて例にないほど、大きく変わることになるでしょう。米国の未来がどう変わるのか、まだまだ目が離せません。

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広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。