2008年02月26日
今夏にはDPCでの支払い開始。さらなる体制の整備を!
大垣市民病院●曽根孝仁副院長
(曽根先生(左)と、事務局医事課主事・内山良氏)今回は、2月1日に新社会システムの主催で行われたDPC実践分析セミナーに参加された、大垣市民病院の曽根孝仁副院長に、GHC芦田とともにインタビューさせていただきました。同院は、平成18年度から準備病院としてDPCに参加し、いよいよ来年度から対象病院へと移行する予定です。セミナー・DPC分析システム「EVE」の感想とともに、DPC導入に向けて行っている取り組みについて話をうかがいました。
(文章中、敬称略)
――まず、本日のセミナー(DPC実践分析セミナー)はいかがでしたか?曽根 以前に一度、EVEの説明を聞いていたので、今回で2回目ということで、より理解できたと思います。データを分析して、問題点などを見つけることは楽しいですし、こうした分析ツールを使うことで、「どうカイゼンすれば良いか?」がわかりますよね。特に、ベンチマークによって、他院と比較した自院のポジションが見えるので、非常に説得力があります。今回、セミナー内で見た症例でも、ガラッと変えなければならない部分が見つかりましたし…。他の診療科、疾患についても、見なければと思っています。そういう意味で、EVEは、分析ツールである一方で、“指導するためのツール”ですよね。もちろん、経営面だけではなく、医療の質、診療の仕方にも影響があると思います。
ただ、本当の意味での純益がクリアにわかれば、より有用。そのほか、分析を行っていると、DPCの分岐にまだ不備があると感じますが、これはシステムの問題ではなく、制度そのものの問題ですね…。
芦田 医療の質という点では、臨床指標機能も搭載していて、死亡率や院内感染の発症率などのベンチマークも可能になっていますよ。
曽根 死亡率はマスが多くなければ、比較はできないですよね。どんな患者が対象になっているかでまったく異なりますから。比較するためのツールとして使うにしても、単純比較はできない。ただ、診療を見直す“きっかけ”としては有効ですよね。
――H18年度から準備病院として参加しているということで、次年度からいよいよDPCによる支払いが始まると思いますが、すでに診療の見直しなどは行っているんでしょうか?曽根 各科の所属長には、「パスを見直すように!」と伝えています。先日は、外部の方にDPCについての講義をしてもらいました。各所属長に参加してもらったので、「DPCとはどんなものなのか?」ということは把握してもらえたと思いますし、診療内容を見直す理由についてもわかってくれたと思います。
私自身は、DPCによって何がかわるのか、どう変わらなければいけないのかは大体理解していますが、こればかりは各科でやってもらわなくては進みません。ただ、医師はインセンティブがないので、各科の担当の医事課職員にがんばってもらわなければいけませんね。現状がどうで、どのように見直す必要があるのか…、語り部になってもらわなければ。
――では現在は、所属長をはじめとして職員の方々に、DPCに関する周知を行い、意識を高めている段階でしょうか?曽根 そうですね。ただ、以前から、毎月の収益をランキングにして貼り出していたりと、経営を考える土壌はあると思うんです。収益の低い科にとっては(貼り出されることは)嫌でしょうけれど、特に抵抗もありませんでしたし。
芦田 意識が高いですよね!
曽根 今年の夏までには、実際にDPCでの支払いを始めますので、さらに体制を整えなければなりません。今は調整係数によって、理論上、マイナスにはならない構造になっていますが、廃止されることは決まっていますので、係数に頼らずとも大丈夫なように戦略的に考えていかなければいけないですね。
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広報部 |
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