GHCブログ

2008年08月15日

内側から見る病院と外側から見る病院は違う

株式会社エム・アイ・ファシリティズ ●油井正規・取締役 経営企画管理本部長 ●浅田年愛・取締役 指導統括部長 ●小林喜明・指導部/課長 チーフコンサルタント



1995年に株式会社マネージメント・ウェーブとして福岡県福岡市に設立され、その後、2005年に、「診療報酬の流動化」などの金融サービスを提供する株式会社オプティファクターの出資により改組された株式会社エム・アイ・ファシリティズ(本社:東京都品川)。病院機能評価の受審支援をはじめ、医療機関を対象に経営コンサルティングを提供しています。 今回は、同社の油井様、浅田様、そして小林様にお話をうかがいました。(文章中、敬称略)

――実は油井さんには、私が前職のときに取材をさせていただいたことがあります。そのときにはオプティファクターの業務についてお話をうかがいましたよね。その節はありがとうございました。さて、まずはオプティファクターとエム・アイ・ファシリティズの関係について教えてください。

油井 お久しぶりです(笑)。オプティファクターは、銀行出身者が集まったファイナンスを手がける会社で、6年ほど前から「診療報酬の流動化」を金融スキームの1つとして取り扱ってきました。医療機関を、金融、財務面からサポートしていたわけですが、それだけではどうも本質的なカイゼンにはならない。そこで、当時、福岡を拠点に病院機能評価の受審支援をメインにしたコンサルティングを行っていたマネージメント・ウェーブと提携しました。2社のサービスを両輪のようにまわしていければ、医療機関の経営力アップにつながるだろうと考えたわけです。 そして、3年前に、オプティファクターの出資により株式会社エム・アイ・ファシリティズ(MIF)に改組し、全国展開するために本社を福岡から東京に移しました。

――なるほど。ちなみに、MIFはどのようなバックグラウンドをもった方々が集まっているのですか?

油井 もともとマネージメント・ウェーブに在籍していたスタッフのほか、医療関係者や、ISO、Pマークなどの第3者評価にかかわっていた人、また金融系出身者などの新しい人材を採用しました。現在、総勢41人で、常時、50施設ほどに病院機能評価を受審する際の支援を行っています。

――病院機能評価を受審する際に、コンサルタントが関与する割合はどのくらいなのでしょうか?

小林 医療機能評価機構が公表しているアンケートでは18.2%となっていますが、コンサルが関与していることを表に出していない医療機関は多いので、実際には半数を超えると思います。また、来年「バージョン6」に上がる予定ですが、年々ハードルが上がっていることもコンサルの導入が増えている要因かもしれません。たとえば、京都議定書を受けて、電気使用量の削減といった環境面への配慮も求められるようになります。こうした項目は今までにはなかった項目なので、病院にとっては難しいのではないでしょうか。

浅田 病院機能評価のハードルが上がっているのは、あくまでも、社会情勢を反映してのこと。医療機関の情報公開が進んで、病院のコンプライアンスに注目が高まっています。社会が病院に求めているハードルが上がっているので、機能評価のハードルも上がっているというわけです。時代の進捗とともに、評価項目自体も変わりますし、どの項目が重視されるかということも変わります。

――コンサルタントを導入するメリットはどのような点でしょうか?

油井 病院は資格保持者の集まりなので、1つの方向に向かせるのは難しい組織です。ですから、外部から人がきて旗振り役をしたほうがまとまりやすい。また、優秀なスタッフがいる病院は自力で取得することもできるのですが、限られた人間だけが活動を行っている場合が多いのです。それでは院内のカイゼンにはつながりません。

小林 私たちコンサルタントがサポートする場合、全員参加が基本です。これまでに培ってきたノウハウを凝縮して、末端のスタッフの方にまで指導しますので、効率的に理解を促し、プロセスを変えていくことができます。結果が変わればよいのではなく、プロセスを変えて結果がかわる。だからこそ継続するのです。

――受審に際して、多くの医療機関で共通して躓きやすい点はありますか?

小林 廃棄物処理や、プライバシーの確保などは、共通している部分です。 浅田 診療録の記載についても、意外と多いですね。

――ところで、浅田さんは今まで病院内部にいらっしゃったわけですが、外から見る病院は違いますか?

浅田 違いますね。カルチャーショックを受けました。病院の内側からの自己評価と外部からの評価は違う。たとえば、救急医療は、病院にとって経営という視点ではプラスになるわけではないけれどやらざるを得ない部分。スタッフは必死にがんばっているわけですが、外からはなかなか評価されていません。また、給与平均にしても、外部から見られているほど、医師は格段高いわけでもありません。よっぽどフジテレビなどの民間企業のほうが…。 ただ一方で、一般の企業に比べれば、まだまだ経営努力が足りないということにも気づきました。保険診療であれば、請求したものは収入として入ってくる。これは、他業界にはない、恵まれた環境ですよね。社会のセーフティネットである病院は、“企業”としての責任をもっと考えなければならないと思います。




[:星:]スペシャルセミナーまで1ヶ月を切りました![:星:] ☆8月29日(金) 「がん医療の質向上と経済学―DPC環境下でさらに役立つ実証分析、日米の事例を通して―」 明治記念館 ☆9月30日(火) 「医療の質と経営の質―DPC委員会の最前線より!―」 福岡・国際会議場

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。