2008年10月01日
「医療の質と経営の質」セミナー、最終回は福岡で
今年7月に行った東京セミナーを皮切りにスタートした「医療の質と経営の質」シリーズ。9月最終日の昨日、最終回の福岡セミナーを終えました。
これまでGHCのセミナーは東京での開催ばかりだったので、福岡まで来てくださるだろうか…と、実は心配していたのですが、ふたを開けてみれば、100人近くの方にご参加いただきました! ありがとうございました。
さて、今回の演者の先生方は、
広島市立広島市民病院副院長の高倉範尚先生、
岡山済生会総合病院副院長の平松信先生、
佐久総合病院診療部長の西澤延宏先生というお三方。
トップバッターの高倉先生は、DPCの導入に至るまでの経緯と導入後の部門別対応、そしてDPC導入後の変化についてご説明くださいました。そのなかで「DPCは、効率化や標準化、透明化、情報化などを実現するためのツールである」と指摘され、DPC環境下で成功するためには①トップの明確な意思と表現、②DPCデータの作成・分析、③職員への的確なフィードバックと継続的啓蒙――が必要と説かれました。
続いて登壇されたのは、岡山済生会総合病院の平松先生。実は、高倉先生とは大学時代の同級生とのこと。同院ではDPCの導入に伴って、①疾患別コスト分析と対応(ベンチマーク)、②入院期間の再検討、③投薬・注射の適正使用、④パスのカイゼン、⑤術前検査・画像の外来シフト――の5つを主に改善したそうです。講演では、改善前後の実際のデータを示してくださいました。そして最後に、実際に先生が、DPCについての職員研修で使用しているというスライドも紹介くださいました。
ゲストスピーカーのトリとして登場した佐久総合病院の西澤先生は、まず、「高度先進医療」と「地域に根ざした医療」の“二足のわらじ”を履いているという病院の特徴について話した上で、DPC導入について説明。地方病院としてDPC制度化ではハンデがあるものの、①医療の質向上を目標とすること、②患者さん本位の医療は変えないこと、病院全体で取り組むこと――を前提に導入を進めたそうです。また、同院は1999年に他に先駆けて日帰り手術センターを開設したことでも有名ですが、昨年4月には手術前の検査をできるだけ外来にシフトさせるために「術前検査センター」を設立。時間をかけて丁寧に説明ができるため患者さんの満足度も高く、外来医師・看護師の負担軽減、在院日数の短縮などのメリットにつながっていることを紹介くださいました。
そして、GHCからはマネジャーの塚越が「医療の質と経営の質~病院の本質と病院の基盤~」と題して講演し、実際のDPCデータをふんだんに用いた分析事例を紹介させていただきました。
さらに、演者の先生方に再びご登壇いただき、GHC会長のアキよしかわの司会の下、パネルディスカッションを開催。
「“分析のプロ”を育成するために具体的に行っていることは?」という質問に対しては、広島市民病院の高倉先生は、「医事課職員の一人を分析担当として育てていたものの、分析の面白さに目覚めた結果、自治体病院では部署移動があるため、民間病院に転職してしまった」と自治体病院ならではの難しさを吐露。岡山済生会総合病院の平松先生は、「診療管理士や医事課職員など皆がDPCに関する勉強会に積極的に参加し、出張費も含めて病院で予算を割いている」と、病院の方針としてスタッフの育成を後押ししていることを説明。さらに佐久総合病院の西澤先生は「専属ではないものの、医事課と診療情報管理課、そして自分が中心になってデータを分析している。増収・減収という問題はほぼよくなっているので、多くの病院とベンチマークすること、原価計算にまで踏み込んで考えることがこれからの課題」と自院の状況を紹介されました。
「日本のDPC制度は今後、どのような方向に進むか?」というテーマに関しては、「DRGのような形にシフトするだろう」という意見で一致。いずれの先生方も、DRGシフトを選定として先回りして考えていることを説明されました。
東京、大阪、福岡とそれぞれ3人の先生方に講演いただいて行ってきた「医療の質と経営の質」セミナー。どの会も、素敵な演者の方々に恵まれ、そして延べ300人近くの方に参加いただき、無事に終了いたしました。皆様、本当にありがとうございました!
—–
広報部 |
|
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
|