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2009年01月20日

調整係数に取って代わる新たな係数とは? …日本DPC協議会「DPCセミナー」

17日(土)、日本DPC協議会の「DPCセミナー」が東京都新宿区の東医健保会館であり、私も一部覗かせていただきました。

聴講したのは、国際医療福祉大学医療経営管理学科長の高橋泰教授の「調整係数廃止に向けた展望」。タイトルのとおり、調整係数がなくなった後、新たにどのような「機能評価係数」が設けられるのか、現在DPC分科会で検討されている内容と、高橋先生の予測が語られました。

調整係数は、DPC制度を円滑に導入することを目的に、各病院の前年度の収入を確保する仕組みとして設けられたもの。この調整係数が廃止され、新たに設置される「機能評価係数」については、「前年度並みの収入確保」の役割はなくなり、「現在の機能評価係数のみでは対応できていない病院機能の評価」を行うこととなっています。

さて、現在検討されている「機能評価係数」は次のとおりで、それぞれについて高橋先生はコメントをされていました。

◎医療の透明化・効率化・標準化・質の向上等、患者の利便が期待できる係数 具体例①「効率性指数」を用いた評価  ⇒高橋先生:「DPCの最大の問題点は、在院日数を短くするメリットがないこと。重症度を補正した上での入院日数などは、必ず(評価に)入るだろう

具体例②症例数に応じて標準化や効率化が認められる場合、症例数に応じた評価 ⇒高橋先生:「症例数に応じた評価は無理ではないか。エビデンスがまだない

具体例③標準化レジメンや診療ガイドライン等に沿った標準的医療が提供される患者の割合に応じた評価  ⇒高橋先生:「一部、典型的なものだけ試験的に入るのではないか?

具体例④DPC対象病院における後発医薬品の使用促進  ⇒高橋先生:「通らないのでは? 可能性はゼロではないものの…

◎DPC対象病院として社会に求められている機能・役割 具体例①複雑な症例を多く治療していることを評価するための「複雑性指標」  ⇒高橋先生:「一番入れるべき項目だが、まだ評価の方法が開発されていない。間に合わないのではないか

具体例②「副傷病」の程度に応じた評価  ⇒高橋先生:「一番アップコーディングが出やすいのでは? 患者選別につながる可能性もあるし、データがまだ揃っていない

◎地域医療への貢献という視点 具体例①医療計画で定める事業において、症例数や医療圏における割合(シェア)に応じた評価  ⇒高橋先生:「入る可能性が高いだろう

具体例②地域の救急・小児救急患者及び妊産婦の受入数に応じた評価  ⇒高橋先生:「今、分科会の議論は『地域の中核病院にいかに手厚くするか』が中心になっている。しかし、本当に必要なのは二次救急なので、二次救急を担う医療機関をちゃんと評価する指標を

講演の最後、新機能係数が高い病院のイメージとして高橋先生が提示したのは、「一番影響があるだろう」と説明する『①効率の良い医療』と、「試験的に導入されるのではないか」と予測している『②標準レジメンや診療ガイドラインに沿った医療』、そして『③医療計画で定められている事業において症例数やシェアが高い』こと、『④救急・小児救急患者、妊産婦の受入数が多い』ことの4点を満たす病院。

高橋先生のわかりやすい説明と、ざっくばらんな今後の予測に、満席の会場は興味津々となっていました。



広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。