2009年02月11日
変われる組織を意図的につくる――相澤病院・相澤理事長、塚本事務局長
9日のブログに引き続き、相澤病院の相澤理事長、塚本事務局長のインタビューです。話は組織論に…。
渡辺 ところで、相澤病院を見ていて、いつも感心することの1つが、組織のあり方です。数ヶ月ごとに、組織図が変わるとお聞きしました。
相澤 今年もまた組織を大きく変えました。一番大きい変化は、今までバラバラに存在していた診療情報管理室と医療事務課、インフォメーション課を1つの部門にしたことです。このうち、入院の医療事務に関しては、病棟に一人ずつ配置するようにしました。
渡辺 現場により近いところで、ニーズを察知するということですね。
相澤 そうです。DPCという仕組みは、患者さんが退院するときに完璧なレセプトを出せなければダメ。過少請求であれば未収金につながるし、逆に多く請求してしまっては信頼を失います。だからこそ、病棟配置でやらざるを得ないと考えました。
一方、外来は、昔のように毎週来る方よりも、1ヶ月に1度、90日に1度という方がほとんど。週に1度であれば、「では来週に」ということも可能ですが、90日に1度であればそういうわけにはいきません。やはり毎回適切に会計を行わなければいけないわけです。
今回の組織変更は、効率化による経営上のメリットはもちろん、患者さんに対するサービス向上という意味もあります。
渡辺 変わることに、職員の方々も慣れているのでしょうね。
塚本 そうかもしれませんね。変わることが求められるので。そもそも、採用面接の段階で、「今回はこの部署で採用させていただきますが、今後どこに異動になるかはわかりません」と、伝えてあります。そのことを承知した上で、皆、入ってきてくれているわけです。
相澤 職員一人ひとりが変化に慣れていることともう一つ、変われる組織を意図的に作っているということもあります。フラット型の組織を採用しているのはそのためです。当院の場合、院長の下に副院長、部長は置かず、現場の課長になります。
激動の社会のなか、重要なのは組織のスピード。命令伝達が素早く伝わるように、なるべく階層を少なくして変わることのできる組織体をつくっているのです。ただし、変わりやすいということは、裏返せば、コントロールしにくい、ともすれば暴走しやすいというデメリットも抱えています。
――そのデメリットを薄める仕組みもあるのでしょうか?相澤 一つは、当院には10人の「院長補佐」がいます。私の考えをよく理解してくれている、ある意味“分身”のような人材を院長補佐として、①医療安全推進担当、②診療部門内科系担当、③診療部門外科系担当、④看護部統括・看護部救急部門担当・特殊看護部門担当、⑤看護部病棟部門担当、⑥救命救急センター統括担当、⑦救急救命センター看護科担当、⑧ふれあいメディカルセンター担当(=外来)、⑨病棟事務部門担当、⑩医療連携センター担当、⑪副医療部門担当――という11部署に置いています(⑨と⑩は兼務)。ただし、よく理解してくれているとはいえ、まったく同じ考えというわけではありませんから、私自身が、課長職以上の職員と毎月、面談を行って方針や目標を明確にするようにしています。直接、経営方針やビジョンを伝えることで、組織全体のベクトルを同じ方向に向けているわけです。組織をまとめるには、結局は、これしか方法がないのではないでしょうか。
塚本 翻訳者を多くするとまったく違う内容が伝わってしまうので、理事長自らが一人ひとりに伝えているわけですが、これはかなりエネルギーを使うことですよ。
渡辺 でも、補佐役の懐刀である塚本局長がいらっしゃるので、非常によいコンビですよね。
相澤 苦手なことは完全に補完していただいていますね。あくまでも「いただく」という感じ。「1+1」が単純に「2」になるのではなく、補完していただくことで、3とか5というパワーを発揮するわけです。
塚本 理事長のよいところの1つは、院内の人材に任せることだけではなく、外部からの人材の導入にも臆病ではなかったということでしょうね。結局は、理事長自身が一番、変わることに対してまったく抵抗がなかったということ。変わるというのは、結局は、人の問題ですから。
相澤 自分ですべてをやれるとは思ってはいけないんです。できないこと、必要なこと、足りないことは人に任せる。「足りないところがあるのでは?」と、常に第3者的に見る目を持つことが大切です。
渡辺 経営者として、いつも十分ではないという焦りを持つことは、すごく大事なことですよね。
相澤 そうですね。トップは、自分に謙虚であり、そして情報をたくさん持たなければいけないと思っています。
[:星:]相澤理事長&塚本局長インタビュー vol.1
2月9日(月)アップ!
[:星:]相澤理事長&塚本局長インタビュー vol.3 2月13日(金)アップ予定!
広報部 |
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