2013年06月17日
入院調査・評価分科会 7対1病棟よりも15対1病棟で重症度・看護必要度の高い患者割合高い
6月13日(木)、今年度第3回目の
診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会が厚生労働省(以下厚労省)で開催されました。
議題は、下記2点。
・ 一般病棟入院基本料の見直しについての影響(その2) (重症度・看護必要度について)
・ 特殊疾患病棟や障害者施設等から療養病棟に転換した場合に対する経過措置の実態
各議題は「
平成24 年度入院医療等における一般病棟、療養病棟等に関する長期入院等の実態調査」
(
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000320du-att/2r985200000320i6.pdf)での分析結果をもとに議論されました。
同調査では、入院基本料別に重症度・看護必要度をさまざまな角度から分析。調査のなかでも特に各委員の関心が高かった結果が、入院基本料別に比較した、重症度・看護必要度基準該当患者(A項目2点かつB項目3点)の病院ごとの割合。
この重症度・看護必要度基準該当患者(A項目2点かつB項目3点)を15%以上受け入れていることが、「
7対1一般病棟入院基本料」の算定要件の1つ。本来なら、「
7対1一般病棟入院基本料」を算定している病院が最も割合が高いことが予測されていましたが、「
7対1一般病棟入院基本料」の算定病院よりも「
15対1一般病棟入院基本料」算定病院の方が該当患者の受け入れ割合が高いという結果になりました(
図1参照)。
図1 入院基本料別の重症度・看護必要度基準該当者割合(現基準)
出典:入院調査・評価分科会(6月13日開催) 厚労省配布資料「入-1」P24より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034ao8-att/2r98520000034as5.pdf
この結果を受けて、委員から「
7対1の看護体制が必要な病院が急性期病院だけではないことが推測される」「
亜急性期入院医療管理料の重症患者の受け入れ割合が非常に低い。重症度として低い人がいる療養病床と何倍も開きがある」などの意見があがりました。
こうした結果からも、今後、病床機能分化を推進するうえで、同分科会での議論と重症度・看護必要度の在り方が大きなカギとなってくることは間違いないでしょう。
2025年の病床機能分化に向け、水面下でもさまざまな動きがあります。
弊社でも注目している動きの1つに、4月15日に発足された、
日本長期急性期病床研究会(LTAC)(会長:上西紀夫(公立昭和病院・院長))があります。
同研究会は、幹部に入院医療等の調査・評価分科会会長である
武藤正樹(国際医療福祉大学大学院・教授)氏、DPC評価分科会会長である
小山信彌(東邦大学医学部・特任教授)氏、弊社代表取締役社長渡辺の恩師である
田中滋(慶應義塾大学大学院経営管理研究科・教授)先生など計11名が名を連ね、入院医療等の調査・評価分科会委員である
武久洋三(一般社団法人 日本慢性期医療協会・会長)氏も監事を務めています。
今後、同研究会では、急性期医療、慢性期医療に携わっている医療関係者や学識者、企業関係者などとともに日本における長期急性期病床の役割を考え、よりよい医療提供体制の実現にめざし、研究を進めていくそうです 。
そのほか、入院医療等の調査・評価分科会では、調査結果から、重症度・看護必要度調査に追加する項目の検討も実施。B項目に追加を検討している項目のうち、「
計画に基づいた10分間以上の指導」「
計画に基づいた10分間以上の意思決定支援」の「
7対1一般病棟入院基本料」における該当率が高かったことを踏まえ、
嶋森好子委員(社団法人東京都看護協会 会長)は、「
「計画に基づいた10分間以上の指導」「計画に基づいた10分間以上の意思決定支援」はぜひ入れてほしい」と要望(
図2)。
この要望に関して、委員からの反論などはありませんでした。
図2 B項目の調査項目として追加した評価項目の該当率
出典:入院調査・評価分科会(6月13日開催) 厚労省配布資料「入-1」P30より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034ao8-att/2r98520000034as5.pdf
一方、重症度・看護必要度の評価項目に関しては、「
看護のケアなどを見ていくことも大切だが、患者さんの病態が浮かび上がるような調査内容も検討すべき」といった意見もありました。
重症度・看護必要度については、今回の議論を踏まえ、今後さらに議論を深めていくとのこと。
一般病棟入院基本料に関する次回改定の有無について、事務局は、「
最終的に決定するのは中央社会保険医療協議会総会」としたうえで、「
これだけ調査しているのだから何らかの改定があると思う」とコメントしていました。
また、特殊疾患病棟や障害者施設等から療養病棟に転換した場合に対する経過措置の実態についても調査。2006年、2008年改定時に設けられた経過措置(2014年3月31日まで)は、ほとんど利用されていないということが明らかとなりました。同調査結果を受けて、厚労省が経過措置の廃止を提案したところ、複数の委員が同意。今回の議論を踏まえ中医協総会で再度検討される方向になりました。
重症度・看護必要度の研究調査は、弊社が毎月発行している『マンスリーレポート』(2011年1月号)でも「看護必要度データの可能性と問題点」というテーマで特集を組んでいます。
同特集では、DPC病院における重症度・看護必要度の病床別の看護体制比較、重症度・看護必要度データ分析・活用状況などを分析しています。
詳しい解説は、『マンスリーレポート』をご参照ください!
マンスリーレポート詳細について↓
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参考:厚生労働省ホームページ
平成25年度第3回入院医療等の調査・評価分科会議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034ao8.html
広報部 |
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