2009年05月16日
新たな機能評価係数はまだまとまらず…――中医協・DPC評価分科会
5月14日(木)、平成21年度第3回の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院院長)が開かれました。
この日の議題は、5つ。
①平成20年度「DPC導入の影響評価に関する調査結果及び評価」最終報告概要(案)
②平成20年度再入院(再転棟)にかかる調査について
③平成21年度におけるDPCに関する調査(案)について
④調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数等の検討について
⑤その他:DPC対象病院及び準備病院における後発医薬品の使用状況について
気になるのは、やはり4番目の「新たな機能評価係数等の検討について」だと思いますが、残念ながら、まだ絞込みには至りませんでした。
前回の会合と同様に、①「DPCデータを用いて分析が可能であるもの(17項目)」、②「DPCデータによって一部分析が可能なもの、又は医療機関の負担が少なく速やかにデータを把握することが可能なもの(11項目)」、③「その他、既存の制度との整合性等を図る必要があるもの(3項目)」という、「DPCにおいてのみ評価を検討する項目」のリストを提示。その上で、今回新たに、「各項目の評価指標についての集計の例(以下、集計例)」が示されました。この集計例は、平成18年、19年のDPCデータを用いて分析した結果で、現在挙がっている主な項目別に、病床規模別(200床未満、200~400床、400床以上)と特定機能病院に分けて平均値の違い等を見たものです。
厚生労働省事務局側からは、「項目の絞込みを急ぐようにいわれている」「(現状の項目を批判し、新たな提案をする委員に対し)新たな評価の提案ではなく、絞込みの時期では?」と、項目の決定を急ぐ発言が聞かれ、特に、「救急・小児救急医療の実施状況及び救急における精神科医療への対応による評価」や「医療計画で定める事業等について、地域での実施状況による評価」という1つの評価に対して複数の評価指標が挙がっているものを絞り込みたい様子でしたが、結局、具体的な結論には至りませんでした。
表に挙げられている項目に関連して、「(救急関連で)入院から手術までの時間は?」という意見もあがり、これに対して厚労省事務局は「時間単位では把握できないが、日数単位では可能」と回答。また、「副傷病による評価(副傷病ありの患者数/全DPC対象患者)(特定の副傷病ありの患者数/全DPC対象患者)」については、副傷病を故意につける可能性が危惧され、次回以降の会合で、松田班から在院日数に影響があるものを提示することとなりました。
このほか、1つ目の議題の「平成20年度「DPC導入の影響評価に関する調査結果及び評価」最終報告概要(案)」については、各年度の対象病院・準備病院群にわけて、厚生労働省事務局が結果を提示しました。まず、平均在院日数に関しては、すべての病院類型で減少傾向にあるものの、その要因は「患者構成の変化による影響」ではなく、「診断群分類毎の在院日数の変化による影響」であるとし、効率化は進んだ一方で患者の選別は進んでいないと説明。また、緊急入院や他院からの紹介患者数は横ばい、もしくは増加傾向にあることからも、「重症度の高い患者を避けるような患者選別の傾向はみられない」としました。さらに、退院時転帰の状況に関しては、「治癒及び軽快を合計した割合が横ばいであり、急性期としてある程度病態が安定した時点までの入院医療を反映しているものと考えられる」とし、こうしたことから、「DPCにより、質の確保はされつつ医療の効率化が進んでいるもの」と結論づけました。
この最終報告概要(案)は大筋了承され、部分的に修正したうえで基本問題小委員会に提示される予定です。
広報部 |
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