2009年05月26日
調整係数の廃止で医療界は再編―『えむでぶ倶楽部ユーザー』総会
先週金曜日にメディカル・データ・ビジョン(MDV)社主催の『えむでぶ倶楽部』ユーザー総会が開かれ、お邪魔してきました。前半のセミナーでは、国際医療福祉大学院の高橋泰教授、GHCアキよしかわの講演があり、後半は事例発表会として3名の発表がありました。
高橋教授の講演テーマは、「調整係数廃止の影響と今後の方向性」。前半はDPCの制度概要について、後半は、検討が続いている調整係数廃止後の話でした。
調整係数廃止後の新たな機能評価係数に関しては、現在、DPC評価分科会で検討されている項目を紹介し、評価の妥当性と有利・不利になる病院についてそれぞれ簡単に解説されました。
「DPC病院として正確なデータを提出していることの評価」に関しては、データに強いスタッフがいるか否かが重要であると説明した上で、「妥当でしょう」と評価。また、在院日数が重要なファクターとなる「効率化に対する評価」と「複雑性指標」については、前者は「妥当。絶対に入ると思います」と断言した一方で、後者については「個人的には妥当という感じがしない」とコメント。このほか、「救急・小児救急医療に対する評価」は「妥当。特に重要と考えている」と紹介し、「患者の年齢構成による評価」も「妥当」と評価されました。
また、新たな機能評価係数の候補として以前からいわれていた「望ましい5基準(特定集中治療室管理料を算定・救命救急入院料を算定・病理診断料を算定・麻酔管理料を算定・画像診断管理加算を算定)」が候補から外れたことに対して、「一番意外だった」とコメント。
さらに、講演の最後、高橋教授は「調整係数の廃止が医療界の大きな再編につながるだろう」と今後について述べられました。
続いて登壇したGHCアキよしかわは原価管理に重要性について講演。DPCを導入した多くの病院が出来高算定と比較した増減収に一喜一憂しがちですが、「大切なのはコストと比較すること」と説明し、「収入だけではなく、利益をみなければならない」と強調。講演の後半では、MDVとGHCが共同開発したDPCコスト分析・ベンチマークシステム「コストマトリックス」のデモンストレーションを交えつつ、原価管理の重要性を伝えました。
事例発表は、豚インフルエンザ対策で急遽、不参加となったPL病院経営企画室長医事課の宮平政一氏のピンチヒッターとしてMDVの本間さん、済生会吹田病院の経営企画室企画担当マネジャーの松木大作氏、日高病院診療録医療情報管理室長の茂木信介氏の3名が登壇されました。
このうち、吹田病院の松木氏は、EVE-ASP、コストマトリックスでどのような分析ができるのかという応用編として、他病院の病名付けに関する分析などを紹介。さらに、「EVEではできないことはAccessを利用している」と、様式1とEFファイルを合体させて行っている症例単位での分析などを説明してくださいました。
高橋教授が講演のなかで、「(DPC病院として正確なデータを提出していることの評価に関連して)松木さんのような人材がいる病院は強い」とおっしゃっていたのも納得の、「さすが!」というプレゼンでした。
しかも、プレゼン最後のスライドでは、GHCブログへの応援メッセージが! 何も知らなかった私は、一瞬、きょとんとした後で、あまりの嬉しさについ、頬がゆるんでしまいました(松木さん、ありがとうございます!)。
ちなみに、この日の会場は三菱商事ビル。ビル全体、豚インフル対策のためにマスク着用が義務づけられているようで、定員いっぱいの200人ほどの参加者もスタッフも皆マスク姿。ちょっと不思議な光景でした。
広報部 |
|
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
|