GHCブログ

2009年06月03日

Dr,NemoのASCOレポート vol.1

GHCメンバーの1人、Dr.Nemo。 彼は、4年連続で、ASCO:American Society of Clinical Oncologyに参加しています。今年も参戦してきたDr.NemoのASCOレポートを今日から4日間連続でお届けします!


【29/May/2009 Day1】

まずは会場の入り口に “H1N1 Virus”に関する見解が出されていました。全世界から人が集まるだけあって、こうしたインフォメーションは必要なんでしょうか。 内容はCDCとWHOの見解に始まり、州や市の対応などが列記され、最終的には「そんなに警戒しなくて大丈夫だよ!」でした。会場でマスクしているのはアジアン…というより日本人だけでして、日本のマスク文化の異様さが観察できたひと時でもあります。

また、今回驚きだったのが、ASCOが公式にTwitterを設立していたことです。フォロー数も相当で、有名な先生もつぶやいていたりしますので、お暇なときにごらんになると面白いかと思います。 http://twitter.com/ASCO

さて、肝心の初日のハイライトですが…。 オープニングということで、今後のがん治療の方向性、といった内容が多く、各がん種において、昨年のASCOからこれまでに出された新しい知見を振り返りつつ、今後のトレンドと課題を洗い出す、といった講演がメインでした。

私が見た中で面白かったのは、 Basal-like and Triple-Negative Breast Cancer: Definition and Therapeutic Insightsのセッションで、 トリプルネガティブ(ホルモン療法、トラスツズマブともに無反応)の乳がんに関して、その治療法の開発に注力しよう、という流れでした。 ホルモン療法に関しては、100ヶ月以上の追跡試験の結果とエビデンスが示され、標準的治療法として確固たる地位を築き、ハーセプチンもそれに続いている。乳がんの早期診断技術の発展もあいまって、これらの治療法が有効な患者さんの生存率は非常に高い水準で改善されています。その中にあって、どちらにも無反応なトリプルネガティブの患者さんにとって効果的な治療がいまだ確立されていない、という状況があります。乳がん患者の2割前後がこのトリプルネガティブといわれておりますが、古典的な化学療法のコンビネーションに始まり、近年では分子標的薬の応用も進んでいます。ホルモン療法やトラスツズマブに追いけ追い越せ、ではないですが、トリプルネガティブの患者さんにとって、近年の新薬開発や研究は、治療法確立に大きな弾みとなるのではないか、という手ごたえは得られました。


広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。