2009年06月09日
新たな機能評価係数の絞込み、遅々として進まず――DPC評価分科会
昨日、中医協・診療報酬調査専門組織DPC評価分科会の会合がありました。議題は、ずっと続いている「調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数の検討」。一体、いつ決まるんだろう…と皆が注目していますが、「ほとんど議論が進まないな」というのが正直な印象でした。
この日はまず、厚生労働省事務局から、新たな指標として挙がっている項目を検証するための「基礎データ」が提出されました。これは、現在、検討されている主な項目について、病院機能によって係数がどのように変わるのかを見たもので、「病床規模(200床未満・200~400床未満・400床以上)/特定機能病院」「DPC算定病床割合(100%・80~100%未満・60~80%未満・60%未満)」「総合病院・専門病院・がん専門病院」での分類が示されました。たとえば、効率性指数(全DPC対象病院の平均在院日数/当該医療機関の患者構成が全DPC対象病院と同じとした場合の平均在院日数)の場合、病床規模別には400床以上の群が若干、高いもののほぼ横ばい。DPC算定病床割合でも大きな差は見られなかったものの、100%の病院群が最も高く、総合病院・専門病院・がん専門病院別では、がん専門病院が顕著に高いという結果でした。
(*他の項目については、
コチラの資料をご確認ください)
このほか、松田委員(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)からは副傷病と救急に関する分析結果について、佐藤委員(新潟大教授、医歯学総合病院薬剤部長)からはDPC病院における薬剤師の病棟業務に関する実態調査についてそれぞれ報告がありました。
これらの報告を受けてのディスカッションでは、池上委員(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)から挙がった、「現在の調整係数と機能評価係数を合わせた係数のレベルに分けて、(現行の係数と新たな指標との)相関関係をみたほうが適切」という意見に、議論が集中。
他の委員からも、「新たな制度を導入するにはシミュレーションを行う。実態的な例があったほうが納得した議論ができると思う」「(新たな機能評価係数について)定性的にはわかっているが、定量的な姿がほとんど見えてこない」など、池上委員の意見に賛成する声が相次ぎました。
ただし、西岡分科会長は、「どこかの時点でシミュレーションは必要だが、現行の係数と合っているかどうかは、その指標の採用・否定とは別問題。現在の係数との関係を見ると、その結果に引っ張られてしまう。(その項目が)重要だから採用するという考え方をすべき」と、釘をさしました。
一方、厚労省事務局は、「現在係数が高いところが高くなるのか、低いところが低くなるのかという相関関係を見ることに何の意味があるのか、正直疑問がある。だから、(現場の混乱を緩和するために)段階を経て導入とした」と、現在の係数とは切り離して検討する必要性を主張。
最終的には、絞込みを行った後、シミュレーションを行い、実際にDPCのあり方にマッチしているか検討して、場合によっては修正を行うということで同意し、項目の絞り込みにあたって現在の係数との相関を見ることが見送られました。
広報部 |
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