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2009年06月20日

新たな機能評価係数の絞込み開始――DPC評価分科会

19日(金)、診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(分科会長:西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)の会合が開かれました。「調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数等の検討」がなかなか進まず、「いつ決まるんだろう?」と気になっていましたが、今回、かなり動きがありました。

今までの論点整理として現在検討に挙がっている項目がリストにまとめられているのはいつもと同じなのですが、「評価指標の例」ごとに、これまでに指摘された論点が明記され、さらにその横に1列設けて、「○」「△」「×」の評価をする欄が設けられました。実際、この日の会合では、1つ1つの項目について意見を交わしながら、「○」「△」「×」が付与されました。「×」の項目は今回は見送りとなり、「○」「△」として残った項目について、今後、厚生労働省事務局側が実際に評価指標とした場合のシミュレーションを行い、その結果をもとに妥当性を検討していくことになります。


「○」「△」に残った項目は次のものです。 *「」内が評価指標

A DPCにおいてのみ評価を検討する項目 1 DPCデータを用いて分析が可能であるもの ①DPC病院として正確なデータを提出しているものの評価  「部位不明・詳細不明コード/全DPC対象患者」⇒○  「様式1の非必須項目の入力患者数/非必須項目の対象となる患者数」⇒○  「DPC調査において、データ提出の遅延があった回数」⇒○ ②効率化に対する評価  「全DPC対象病院の平均在院日数/当該医療機関の患者構成が、全DPC対象病院と同じと仮定した場合の平均在院日数」⇒○

④複雑性指標による評価  「当該医療機関の各診断群分類毎の在院日数が、全DPC対象病院と同じと過程した場合の平均在院日数/全病院の平均在院日数」⇒○

⑤診断群分類のカバー率による評価  「当該医療機関で(一定以上の)出現した診断群分類の数/全診断群分類の数」⇒○

⑦救急・小児救急医療の実施状況及び救急における精神科医療への対応状況による評価  「救急車で搬送され入院した患者数/全DPC対象患者」⇒○  「入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者数/全DPC対象患者」⇒○  「救急車で搬送され入院した小児の患者数」⇒△  「救急車で搬送され入院した小児の患者数/全DPC対象患者」⇒△  「緊急入院の小児の患者数」⇒△  「緊急入院の小児の患者数/全DPC対象患者」⇒△  「入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した小児の患者数」⇒△  「入院初日に初診料の時間外・深夜・給仕床さんが算定されて入院した小児の患者数/全DPC対象患者」⇒△  「救急車で搬送され入院した患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数」⇒△  「救急車で搬送され入院した患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数/全DPC対象患者」⇒△  「緊急入院の患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数」⇒△  「緊急入院の患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数/全DPC対象患者」⇒△  「入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数」⇒△  「入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者で、入院精神療法又は救命救急入院料において精神保健指定医が診療した場合の加算が算定されている患者数/全DPC対象患者」⇒△  「救急車で搬送されて入院した患者数/当該医療機関の所属する2次医療圏の人口」⇒○? △?  「入院初日に初診料の時間外・深夜・休日加算が算定されて入院した患者数/当該医療機関の所属する2次医療圏の人口」⇒○? △?  「複数の診療科における24時間対応体制」⇒△

⑧患者の年齢構成による評価  「年齢補正係数」⇒○  (年齢階層別の1入院あたり医療資源の投入量に応じて設定する係数)  *今後、さらに検討

2.DPCデータによって一部分析が可能なもの、又は医療機関の負担が少なく速やかにデータを把握することが可能なもの

①診療ガイドラインを考慮した診療体制確保の評価⇒△  *方法をさらに検討

②医療計画で定める事業等について、地域での実施状況による評価  「3疾病(4疾病から糖尿病を除く)による入院患者数」⇒△  「3疾病(4疾病から糖尿病を除く)による入院患者数/全DPC対象患者」⇒△  「3疾病(4疾病から糖尿病を除く)による入院患者数/当該医療機関の所属する2次医療圏の人口」⇒△

⑤医師、看護師、薬剤師等の人員配置による評価  「病院に勤務している各職種の職員数/全DPC対象患者」⇒△  「病棟に勤務している各職種の職員数/全DPC対象患者」⇒△  *「○」に近い「△」とのこと

⑥医療の質にかかるデータを公開していることの評価  「特定のデータ(医療の質の評価等につながる項目)の公表を行っているか否か」⇒△



このうち、意見が飛び交ったポイントは、一つは「救急・小児救急医療の実施状況及び救急における精神科医療への対応状況による評価」の分母の問題。特に、2次医療圏の人口に関しては、「患者が二次医療圏内からくることを前提とすればよいが、実際はそうではない」「二次医療圏の人口が少ないところではシェアが高くなるのは当たり前なので、それを評価するのはどうか?」など、疑問視する意見が複数挙がりましたが、最終的には今後の検討項目として残りました。ただ、松田委員からは「隣の医療圏の患者を受け持っていることも当然あるので、様式1に患者の医療圏番号を入力するようにしたほうがいいのではないか」との指摘がありました。

このほか、「医療計画で定める事業等について、地域での実施状況による評価」に関しては委員からは「(患者数の)ボリュームの大小を評価するのは適切ではないと思うので、指標を公開していることを評価するのがよいのではないか?」など、4疾病の入院患者数を評価指標とすることは見送る意見が相次ぎました。ただ、厚労省事務局から、「(もともとの基本的考え方として地域医療への貢献が強調されているため、)残してほしい」との指摘があり、糖尿病を除く3疾病に関する指標が検討項目として残りました。

今後は、今回「○」もしくは「△」とされた評価指標についてシミュレーションを行い、それぞれの妥当性について、さらに検討を重ねる方針です。 *まだ決定ではありません!


広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。