2013年11月21日
中医協総会でがん対策が議論
38兆5850億円、これは何の金額だかわかりますか。
医療にたずさわる皆様は、ピンときたかもしれません。そう、2011年度に使われた医療費です! 11月14日に発表されましたが、
5年連続で増加し、
過去最多を記録したそうです。
今後どんどん増え続ける医療費を抑制していくためにも、医療機関が考えていくべきことは多いですね。
そんな話題が世間を騒がせた翌日の11月15日、
中医協総会が開催されました。
中医協総会は、
今月から週2回のペース。次回診療報酬改定までに残された時間もあとわずかとなり、各議題、急ピッチで議論
が進められています。
そうしたなか今回の議題はがん対策。日本人の2人に1人ががんになり(年間間罹患(りかん)者数推計70万人)、約3人に1人ががんで死亡している(年間死亡者数約35万人)という状況を考えると、がん対策の更なる充実は、国民の総意です。
日本のがん対策を振り返ってみると、1984 年の「対がん10か年総合戦略」に始まりました。2007年には「がん対策基本法」の施行や「がん対策推進基本計画」が策定され、がん診療連携拠点病院の整備等の充実が図られ、年齢調整死亡率は減少傾向で推移するなど、一定の成果が得られています。一方で、がん医療の提供体制は未だに地域格差が見られ、適切な医療や支援を受けられない地域がある可能性も指摘されています。
出典:第255回中央社会保険医療協議会 総会(11月15日開催)
厚労省配布資料P26 より
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000029554.pdf
総会では、「新たながん診療提供体制」(現行のがん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)と新たに取り入れる地域がん診療病院(以下、がん診療病院))について議論。現在、都道府県別、がん種類別に見ても、拠点病院へ6割のがん患者(入院)が集まっています(図参照)。
拠点病院は、全国どこでも質の高いがん医療の提供をめざして整備されましたが、未だ107の空白の二次医療圏があることを受け、新たに「がん診療病院」と「特定領域がん診療病院」を整備し、診療報酬で評価するという提案が事務局(厚生労働省)からなされました。
新たに整備する「特定領域がん診療病院」は、(「特定のがんになら強い」病院が有利になる理由)ため、中小病院で、「特定のがんになら強い」という医療機関には朗報ではないでしょうか。
しかし、委員からは「そもそも、なぜ107の医療圏で拠点病院が出来なかったのか。その要因は何なのか検証したのか?」、「新しくがん診療病院を整備することで、空白の107医療圏での体制は改善されるのか?」(公益委員)と、その必要性と、認定要件について現行の拠点病院との違いを指摘する声が多く出されました。
また、「二次医療圏を越えて評判のいい病院に行くことも可能、むしろ必要なのは、地域における連携先病院の方だと思う」(診療側委員)という意見もありました。がん診療病院を整備するにあたって、同時に拠点病院の要件を強化するという提案も同時に事務局より行われました。(下図参照)
出典:第255回中央社会保険医療協議会 総会(11月15日開催)
厚労省配布資料P35 より
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000029554.pdf
今回、話題になりましたがん診療体制については、GHCの『マンスリーレポート』(2013年8月号)でも、「がん診療提供体制について」と題して、厚生労働省から公開されているデータを用いて、全国の「がん診療連携拠点病院」、またはそれ以外の病院におけるがん診療提供体制の現状について、まさに今回の中医協総会で議論されていた内容に考察をしています。
是非、こちらもあわせてご参照ください。
【参考資料】
中央社会保険医療協議会 総会 (第257回)議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000029555.html
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