2009年08月03日
組織をつくるのは、人――済生会吹田病院長・岡上武先生
大阪府済生会吹田病院 院長●岡上武 先生
今回は、先月末の大阪でのセミナーでご講演いただいたお1人、大阪府済生会吹田病院院長の岡上武先生にお話をうかがいました。気さくな語り口ながらも、ズバッと問題を突く鋭さが印象的でした。
――まず、人事制度改革についてお聞きしたいのですが、先生が赴任される前から、人事制度改革プロジェクトを立ち上げて人事考課制度導入の検討を始めていたそうですね。10年一日のごとく仕事をし、給与や職位を年功序列優先で行うようではダメだろうということで、人事考課の導入について議論していました。しかし、新しいことを始めるときには常に反対する者が多いのが通例です。外部から講師を呼んで説明会を行ったりもしていたものの、導入するのか、しないのかが決まらない。ようやく今年の4月から2年間の試行期間を於いて2年後に本格導入することを決めました。ただ、個々人を正しく評価することは困難で、まだ評価方法にコンセンサスが得られていませんので、今年はまだボーナスにはリンクさせていません。
人事考課をボーナスに結び付けているある病院では、医師の間でも180万円から20万円未満までかなりの開きが出たそうです。でも、20万円未満の医師も「仕方ない」と納得しているそうです。考課を周りがある程度納得するレベルまでいかにして上げられるか、が問題ですね。
――考課が難しいという話はよく聞きますよね。考課者の訓練が難しいのです。評価しにくい科もあります。たとえば、放射線科の場合、他の医師から依頼がなければ検査件数は増えないわけです。そういったことをいかに評価するか…。
このような難しさもあり、まだ全国の済生会病院で人事考課を本格的に導入している病院は皆無です。
たとえば自治体病院のような組織形態でも導入は困難で、事務職は公務員で、2~3年くらいの比較的短い期間で異動があります。能力がある人でも、病院事務から本庁事務に戻りたい場合は、逆に「病院職員として評価されたくない」と考える傾向にあります。国レベルでも同様で例えば厚労省のお役人も1、2年で別のポジションに変わります。いろいろな業務を経験をしてもらうという意味では仕方ありませんが、一貫した政策の実行は不可能になります。このような弊害はさまざまな場面に見られるわけで、国地方を問わずわが国の抱える大きな問題点と思います。組織をつくる、組織を動かすのは、結局、人ですから。
――最後に、DPCへの対応では、貴院にはまさに“人”がいらっしゃいますよね。医事課の松木さんと副院長の藤戸医師がタッグを組んでやってくれていることが大きいですね。DPCでは診療内容を標準化することが求められますが、これを活かすのは医師であり、医師主導が重要です。事務が作成した資料を個々の医師がいかに有意義に使用するかに尽きます。
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広報部 |
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