GHCブログ

2009年09月25日

17病院からヒアリング――DPC評価分科会

24日、25日と二日連続でDPC評価分科会(分科会長:西岡清・横浜市立みなと赤十字病院院長)が開催され、両日ともに医療機関からのヒアリングが行われました。 ヒアリング対象を選出するにあたっては、事前に特別調査を実施。①再入院について、②再転棟について、③特定の診断群分類において診療内容が他医療機関と比べて大きく異なる病院について(DIC、敗血症)、④後発品について、⑤データの質に関して確認が必要であると思われる病院について、⑥DPC導入後、診療内容が大きく変化した病院について、⑦抗生物質の使用状況について(カルバペネム系、第4世代セフェム系の抗生物質を投与した患者の割合が多い理由)――という7つのカテゴリーに関して調査が行われ、該当する病院が招集されました。

まず、24日のヒアリング対象病院は下記の9病院。それぞれのヒアリング理由は次のとおりです。 ●社団法人慈恵会青森慈恵会病院 ⇒再転棟率が高い  →再転棟率:8.60%(DPC対象病院平均:0.05%、DPC準備病院平均0.13%) ●上都賀厚生農業協同組合連合会上都賀総合病院 ⇒DICの割合が高い  →DICの出現割合:1.0%(全体平均:0.2%) ●埼玉医科大学総合医療センター ⇒DICの割合が高い  →DICの出現割合:0.8%(全体平均:0.2%) ●徳島市民病院 ⇒敗血症の割合が高い  →敗血症の出現割合:2.09%(全体平均:0.47%) ●医療法人社団青藍会鈴木病院 敗血症の割合が高い  →敗血症の出現割合:6.88%(全体平均:0.47%) ●医療法人秀公会あづま脳神経外科病院 ⇒後発医薬品が多い  →後発医薬品比率:19年度37.1%、20年度61.4% ●防衛医科大学学校病院 ⇒後発医薬品が多い  →後発医薬品比率:19年度3.5%、20年度11.3% ●国立大学法人山形医学部附属病院 ⇒後発医薬品が少ない  →後発医薬品比率:19年度1.4%、20年度1.8% ●医療法人聖麗会聖麗メモリアル病院 ⇒後発医薬品が少ない  →後発医薬品比率:19年度1.5%、20年度1.2%     (全体平均:19年度6.2%、20年度7.5%)

一方、25日のヒアリング対象は8病院で、各理由は以下のとおりです。 ●株式会社日立製作所日立総合病院 ⇒データの質  →平成20年度調査のデータ提出遅延回数:4回 ●独立行政法人国立病院機構千葉医療センター ⇒データの質  →平成20年度調査のデータ提出遅延回数:5回

●独立行政法人国立病院機構埼玉病院 ⇒DPC導入後に効率化が非常に進んだ  →現在の調整係数:1.2318(全体平均:1.0713) ●医療法人社団洛和会洛和会音羽病院 ⇒DPC導入後に効率化が非常に進んだ  →現在の調整係数:1.3242(全体平均:1.0713) ●医療法人財団明理会大和病院 ⇒カルバペネム系、第4セフェム系の割合が高い  →抗生剤を投与した患者のうち、カルバペネム系、第4セフェム系を投与した患者割合:57.82% ●医療法人社団七仁会田園調布中央病院 ⇒カルバペネム系、第4セフェム系の割合が高い  →抗生剤を投与した患者のうち、カルバペネム系、第4セフェム系を投与した患者割合:43.03% ●医療法人社団平成平成醫塾苫小牧東病院 ⇒カルバペネム系、第4セフェム系の割合が高い  →抗生剤を投与した患者のうち、カルバペネム系、第4セフェム系を投与した患者割合:66.50% ●河村病院 ⇒カルバペネム系、第4セフェム系の割合が高い  →抗生剤を投与した患者のうち、カルバペネム系、第4セフェム系を投与した患者割合:70.41%


このうち、再転棟率の高さを理由に呼ばれた青森慈恵会病院(一般40床、療養36床、精神82床、回復期リハ144床、亜急性期8床、緩和ケア22床)は、高齢患者の割合が高く、回復期リハ病棟等に入院した患者が長期入院のなかで肺炎や骨折などを起こしてDPC対象の一般病床に転棟するケースがあることを説明。これに対して委員からは、「病院のなかでピンポンのように行ったり来たりしていては、DPCの運営ができなくなる」「肺炎を起こしたから一般病床に送るというのはいかがなものか」といった声が上がりました。

また、敗血症の出現割合の高さを理由にヒアリングが行われた徳島市民病院、鈴木病院については、それぞれ、小児、新生児の症例が多いこと、高齢者が多いことを理由として説明。委員からも、「慎重にコーディングを」といった指摘がある一方で、「高齢者が多い、新生児の多いところは、一般よりも敗血症率が高くなることは了解できる」といった意見もありました。また、松田委員(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)は、「敗血症では、小児とそれ以外で分類を分けたほうがいいのではないか。そのほうが医療の質を担保できる」と、分類の見直しについて言及しました。


同分科会では、こうしたヒアリングで上がった意見も参考に、制度を見直す必要があるか検討する予定です。

—–

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。