2009年11月11日
「足るを知る、ということ」――東京大学医学部附属病院救急部部長 矢作直樹先生~後編~
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月曜日のブログの続きです~
――先生の物事を達観された感じというのは、やはり登山の経験に基づくものなのでしょうか。確かに登山をしていると、雨風をしのげて、寒い思いをせずに、食べるものがあれば、それだけで十分な満足を得られます。それ以上の贅沢は必要ないと実感できますので、そういう意味ではよかったなと思っています。
ただ、それ以上に影響が大きいのは、やはり親でしょうか。平成14年に父が亡くなって、それ以降、母は仙人のような生活をしていました。ほとんどの荷物を父と暮らしていた家に残して、本当に必要な荷物だけを持って1Kのアパートに引っ越しました。ひっそりと本当に幸せそうに暮らしていたので、その影響が大きいと思います。
「足るを知る」ということですね。つまらない欲やしがらみは無意味だと教えてくれました。世の中の皆が、このような境地になったら、きっと悩みはなくなるでしょうね。幸せに生きられるかどうかは、心がけ次第なのです。ただ、それが難しいのですよね。人は人の背中を見るといいますが、結局は、見ようと思うものしか見ませんから。
――2度目の滑落をきっかけに登山家という夢をあきらめ、医学部を卒業して、今、救急の現場で働いていらっしゃるわけですが、救急も違う意味で生死にかかわる現場ですし、緊張感があるかと思います。仕事としての魅力はどのようなところにあるのでしょうか。日々、感動するのですが、つい、慣れが生じてしまうんですよね。自分の悪いところです。予測できないことは少なくなりましたので、慣れてはいけないと思いつつも、日常の感覚に流されがちです。
ただ、臨床の現場で幾多の患者さんやご家族と出会うなかで、「われわれの存在意義とは何なのか」と考えるきっかけをいただいています。そのことには本当に感謝しています。
最近の関心は、どうやったら日本国民を幸せにできるか。今の世の中はいびつなことが多いと感じるのです。目の前の現象のみにとらわれて、本質に目が向けられていないというか…。とはいえ、臨床の現場ではできることに限りがあるので、もっと不特定多数の方にメッセージを伝えるためにメディアを使うことも必要だなと。そう思っていた矢先に、ある出版社から本を出す話をいただきまして、今、原稿をまとめているところです。
――本の出版、楽しみですね。今日はありがとうございました。先生の世界観はどうやって形成されたのかをお聞きしたかったのですが、本を読ませていただきます!
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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