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2009年12月25日

抗がん剤は包括対象外に?――DPC評価分科会

昨日、DPC評価分科会の会合がありました。 議題は、①MDC作業班からの報告について、②E・Fファイルの様式の見直しについて、③基本問題小委員会の報告について。

この日、最も議論が集中したのは、3つめの議題。 12月16日開催の基本問題小委では、「包括払いの範囲の見直し」について検討が行われ、DPC評価分科会が提案した、①HIV治療薬、②血友病等に使用する血液凝固因子製剤、③慢性腎不全で定期的に実施する人工腎臓及び腹膜灌流――の3つについては包括対象外とされることで了承を得られました。

さらに、基本問題小委では、がんは治療が長期になりがちで、がんを抱えながらも他の疾患等を併発するケースも多いため、包括対象内であれば「病院の持ち出しになるのでは」との意識から適切な使用が妨げられるのではないかとの懸念から、「抗がん剤についても包括評価対象から除外すべきでは?」との意見があがり、DPC評価分科会で検討を行うことになっていました。

これに対して、社会保険中央総合病院名誉院長の齊藤委員は、反対意見を表明。「DPCを導入して粗診粗療が行われるのではないかとの懸念もあったが実際には、特に見られない。がん以外にも慢性的な疾患はあるのではないか。抗がん剤だけに特筆して起こっている問題なのか」「DPCの構造を揺るがす問題」と、説明しました。

また、松田委員は、「ある一定のクライテリア以外は出来高にするという方法と、レジメンを作って分岐で評価するという方法と主に2種類ある。ポジティブリストを設けて、それ以外は出来高にするというほうがいいのではないか」と意見。

他の委員からも、「1,000点以上の処置と同様に、一定のラインを引いて、出来高にするほうがいいのでは」「外出し(出来高)にするしかない」といった、包括対象外にすることに賛成する意見が上がりました。

この日は結論にまでは至らず、西岡分科会長は「抗がん剤については、時間をもらって検討を続けたい」と締めくくりました。今後、化学療法の専門医等からのヒアリングも視野に入れて、引き続き検討を行う予定です。

このほか、16日の基本問題小委で検討された、新たな機能評価係数の設定(案)については、新潟大学教授・医歯学総合病院薬剤部長の佐藤委員が、「『チーム医療指数』についても、引き続き検討してほしい」と主張。

基本問題小委では、「正確なデータ提出に係る評価」「効率性の評価」「複雑性の評価」「カバー率の評価」の4項目は正式に導入決定とする一方で、「救急医療指数」「地域医療指数」の2項目に関しては具体的な評価項目を検討したうえで次期改定時に導入するか改めて検討。そして「チーム医療指数」は「今後の取り扱いについてはさらに検討」と、次期改定では見送りが濃厚となっていました。

こうした事情を受けて、厚労省事務局は「22年度の対応は、基本問題小委でこういう方向(見送り)で話し合われているので…」と説明。 他の委員からも「評価になることでチーム医療の推進につながる」など、導入に前向きな意見が残るなか、議論は終わりました。


広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。