2010年01月26日
あるべき姿に対してトップダウンの決断を――DPC改定直前九州セミナー
22日(金)、福岡国際会議場にて「DPC改定直前セミナー 改定に左右されない病院経営 ベンチマーク分析の先にあるもの」を開催いたしました。
今回は済生会福岡総合病院院長の岡留健一郎先生、広島市立広島市民病院 診療情報管理室主査の梅本礼子先生のお二人をゲストスピーカーにお招きしました。
アキよしかわの挨拶の後、ご講演いただいたのが岡留先生。
「DPC環境下での病院の活性化~我々の挑戦~」と題して、院長直轄のDPC委員会を中心に、DPCデータを活用し、「医療の質を維持しながら効率化・標準化を図る」ことを目標に取り組んできた経緯について、具体的な分析事例をふんだんに紹介しながら説明してくださいました。
このなかで強調されたことの一つが、医師を動かすには客観的なデータを示すということ。また、DPC委員会を効果的に機能させるには、院長のリーダーシップの下に権限を持たせることが重要、と説明されました。
このほか、手術室の稼働率向上に向けた取り組みと救急医療体制強化をめざした取り組みについても紹介してくださいました。このうち、後者については、救急隊にアンケートを実施し、搬送前後の医師の対応や研修状況に関する満足度を調査したところ、一部の医師の対応の悪さが救急搬送の減少につながっていたことが発覚。該当の医師に辞めてもらい、結果を真摯に受け止めて改善する旨を救急隊に伝えた結果、救急車による入院件数が顕著に増えました。
こうした取り組みは、GHCがサポートさせていただきながら進めてきたことですが、DPCデータを活用とした医療の標準化と効率化にしても、手術室の改革にしても、救急医療体制意の強化にしても、トップのリーダーシップが非常に大きかったと思います。岡留先生も、講演の最後、「あるべき姿に対してトップダウンの決断」が必要と強調されました。
広島市民病院の梅本先生からは、診療情報管理士という立場からDPCデータの活用についてご講演いただきました。DPCデータを活用し、医療の質や経営の質の改善を図る上で、診療情報管理士は、重要な役割を持つ職種の一つです。梅本氏は、専門職として診療情報管理士が担うべき役割は何か、語ってくださいました。
実際に同院では、医事課と請求担当、診療情報管理士がDPCデータを利用して症例分析を行い、分析結果を現場にフィードバックしているほか、パスの見直しや病床マネジメント、疾患別のマーケットシェアなどにDPCデータを二次活用していることを紹介されました。
さらに、紹介データを紐付け、どの医療機関からの紹介患者が入院に移行する割合が高いのか、手術を実施する割合が高いのか、あるいは平均入院単価や入院期間Ⅱ超えの割合はどのくらいかといった、紹介患者の特性を把握することの有効性も強調。
梅本氏は、「現場の先生方は感覚としてはわかっていると思います。ただ、データを使って客観的に把握することが重要」と指摘されました。
最後に登壇したGHC渡辺は、「ヒト・モノ・カネ・情報」をそれぞれどのようにマネジメントするか、という視点で講演を行いました。
従来の医療は、ピラミッド型の組織図に代表されるように、医師の診断のもとに各スタッフがそれぞれの役割を果たすという形でした。しかし、DPC導入後に求められるのは、各部署のスタッフがそれぞれの専門性を持ち寄って患者を中心に置いたチーム医療を推進することです。そうしたあり方が患者のためのみならず、病院の経営状況にも大きな影響を与えます。
たとえば、薬剤師が病棟で入院患者に薬学的管理や指導を行った場合に算定できる「薬剤管理指導料」。これも、実施を徹底し適切に算定することで、患者のためにもなり、病院経営においてもプラスに働く要素の一つです。ただ、「うちはスタッフが少ないから」といったできない理由をよく耳にします。しかし、実際にデータを調べてみると、100床あたりの薬剤師数が他院に比べて飛びぬけて多いにもかかわらず算定率は低かったり、その逆も見られます。そうした事例を、ベンチマーク分析の結果を紹介しつつ、説明させていただきました。
また、講演の後半はDPCの改定内容を中心とした、2010年度の診療報酬改定に行方について説明。すでに導入が決まっている新機能評価係数4項目について、ベンチマーク分析の結果を取り入れつつ、解説させていただきました。
今回は160名もの方が集まってくださいました。
ありがとうございました!
↓写真は、セミナー後の懇親会
広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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