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2010年02月09日

国際的な医療の質認定「ジョイント・コミッション・インターナショナル」――MIA・JHQC合同セミナー

2月6日(土)、メディカルインプルーブメント研究会日本生産性本部共催のセミナー「国際基準の医療の質評価とJCI認定の意義」に参加してきました。

JCIとは、「Joint Commission International」の略で、医療の安全性と質を改善することをミッションとし、認定サービスやコンサルティング、教育、出版などのサービスを提供している非営利・非行政の組織です。本部はシカゴ。 JCIの認定サービスは、1999年にブラジルの病院を第一号として始まり、現在、世界39カ国で300の医療機関が認定を受けています。 そして、日本第一号として、昨年、JCIの認定を受けたのが、医療法人鉄蕉会亀田メディカルセンターです。

この日のセミナーでは、JCIのマネジングディレクター アジアパシフィックのDr.Paul Chang、医療法人鉄蕉会理事長の亀田隆明氏、そして海外の医療事情に詳しい多摩大学統合リスクマネジメント研究所教授の真野俊樹氏が講演をされました。

Dr.Paul Chang

チャン氏は、JCIの概要について説明。JCIの審査は、組織のあらゆる側面、ケアやマネジメントィかかわるすべてのシステムが対象になります。そして、院内で各患者が受けた治療経過をたどる追跡調査(トレーサー法)を用い、将来的に予測される診療の質と安全性について評価をしていくそうです。 チャン氏は、JCIの潜在的な有益性として、次のようなものを指摘されました。 ○治療の改善…合併症が減少 ○より良い評判…新規患者数の増加 ○職員満足の高まり…定着率の向上により、募集・育成コストが減少 ○より的確で、費用効率の高い業務プロセス ○より良い予防メンテナンスプログラム…医療機器のより長い寿命 ○取引先や保険会社からの特別な評価 ○リーダーシップの構造と品質管理におけるさらなる透明性 ○優れた安全管理とリスク軽減


医療法人鉄蕉会理事長の亀田隆明氏

続いて、医療法人鉄蕉会の亀田氏は、日本初のJCI認定を受けた立場から、受審の目的や審査の概要について紹介してくださいました。 まず、受審の目的については、①国際的な視野に立った医療の質の評価によって、品質改善を図ること、②産業として医療を捉えて国際競争力を高めること――の2つと説明。 審査項目は、「国際患者安全目標」「患者の流れ」「患者の権利」「アセスメント」「治療プロセス」「麻酔・手術」「薬剤管理」「患者教育」「品質改善と患者の安全」「感染の予防と管理」「病院ガバナンス」「施設管理」「職員教育」「コミュニケーション」――の14の章にわかれ、全部で約340の評価基準、1,000以上の小項目からなるそうです。しかも、院内の職員のみならず、病棟で患者・家族にインタビューしたり、訪問看護に同行して患者の自宅でインタビューを行ったりと、かなり徹底した現場審査が行われたとのこと。 また、審査に当たっては、直接費用だけで約800万円かかったそうです。

講演の最後、亀田氏は、「最終的には自分たちがグローバルスタンダードをつくっていきたい」と、力強い言葉で締めくくり、志の高さがうかがえました。

最後に登壇された真野先生は、メディカルツーリズムの話をからめつつ、タイ、シンガポール、韓国、インドのJCI認定病院について、写真とともに紹介してくださいました。

セミナーの最後のパネルディスカッションでは、会場からの質問に対して、各演者が回答。

「(日本の)病院機能評価でさえ、どんどん進化するので、達成感というよりも、『疲れる』というのが正直な感想」と話す質問者に対する、亀田氏に代わって登壇された亀田総合病院メディカルディレクターの夏目孝史先生の「限りなくレベルの高い医療の安全と質を追求するということを実践したい。そういう姿勢で挑んでいないからではないでしょうか」という言葉が非常に印象的でした。


広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。