GHCブログ

2010年03月16日

公的な医療・介護費をGDPの10%以内に――日本経済新聞社提言

日本経済新聞社の医療・介護制度改革研究会は、①医療提供体制の改革、②高齢者医療と介護保険の再編、③保険財政の持続性向上――について改善策をまとめ、3月15日付の同紙朝刊に提言を掲載しました。

提言のポイントは、「医師らが本領を発揮できる体制づくり」、「高齢者の医療と介護を本人に満足のいくように見直すこと」、「公的に提供する医療・介護の規模を国内総生産(GDP)の10%を目安に抑える」、「医療や介護を社会の負担とだけ捉とらえずに、高い医療技術を生かして医療・介護産業を育てる」という、大きく4つ。

まず、「医師らが本領を発揮できる体制づくり」に関しては、病院と開業医、大病院と中小病院との役割分担が明確でないことが問題と指摘しています。たとえば、日本では心臓手術を行う病院が全国に500以上ある一方で、その大半が年間手術件数200以下であるのに対し、ドイツでは心臓手術を行う施設は80数箇所のみで、その9割が年間1000件以上だそうです。

こうした状況を踏まえ、軽症の診療や健康相談は地域の開業医、手術や入院が必要な治療は病院という病診間での役割分担のほか、病院間でも、がんや脳卒中、心臓病など高度な医療を行う病院は拠点化し、患者と専門医を集約すべきと指摘しています。

また医師の偏在問題に関しても改善策を提示。山形大学医学部で2009年度から行っている、小児科、産婦人科、救急、外科のいずれかを選択し、県内の公立病院、あるいは大学の附属病院で前期・後期臨床研修を受けることを前提に4~6年次の学費を免除するという取り組みを例に上げ、都道府県が中心となって人口30~40万人の地域ごとに診療科別の医師の配置数などの計画をつくってはどうか、と提案しました。

また、「公的に提供する医療・介護の規模を国内総生産(GCP)の10%を目安に抑える」施策のポイントとしては、ジェネリック医薬品の導入をはじめとした支出の効率化と、自由診療の拡充の2点を指摘。混合診療が禁止されている現状では、先進技術や新薬を使った治療を望んでも、保険診療分も含めてすべてが自費になるため、患者はなかなか踏み切れません。また、自由診療分が増えることで、公的保険の財政の抑制のほか、医療技術の革新や健康関連の市場拡大にもつながると強調しました。


GHCは、医師らが本領を発揮するために、患者さんが満足のいく治療を受けるために、そして医療費を適正化するために、病院経営に関するコンサルティングサービスを提供する企業としてできることがあると考えています。 一つは、DPCをはじめとしたさまざまなデータを分析し、医療者に見ていただくことで医療の質の向上につなげるということ。もう一つは、これからの部分にもなりますが、患者さんへの医療情報の公開のサポートをすること。後者に関しては、昨年秋にオープンした患者サイト「病気と向き合う 医療と向き合う」(http://www.ghc-kanja.com/kanja/)をはじめ、プロジェクトを進行中です。


医療・介護改革に関する提言は、日本経済新聞3月15日朝刊の1面、社説2面、関連特集6、7面に掲載されています。

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広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。