GHCブログ

2013年11月22日

中医協総会 ~「DRG」が導入!! 入院基本料での特定除外は廃止へ~

11月20日、中医協総会が開催され、今週も先週に引き続き「入院医療」に関する議題があがり、今回は「一般病棟入院基本料の見直し」、「診療報酬点数表における簡素化」、「特殊疾患病棟や障害者施設等から療養病棟に転換した場合に対する経過措置」の3つについての議論がおこなわれました。今、中医協総会での議論が入院医療に集中していることが伺えます。 今回の総会の議論で着目したポイントは、 ○7対1の平均在院日数でどこを減らしていくか?(「診療報酬点数表における簡素化」)入院基本料での特定除外の扱いはどうなるのか?(「一般病棟入院基本料の見直し」) の点です。 ■7対1の平均在院日数でどこを減らしていくか?(「診療報酬点数表における簡素化」) 7対1の平均在院日数でどこを減らしていくかという点では、GHCがかねてから指摘していた「DRG」の導入!!がなされました。 今回の「短期滞在手術の包括評価」についての事務局(厚生労働省)からの3つの提案―(1)治療や検査の方法等が標準化され、短期間で退院可能な手術・検査を入院5日目までに実施した患者全員について短期滞在手術基本料を算定。(2)短期滞在手術基本料を算定した患者については、平均在院日数の算出の対象外。(3)17の手術と検査及び現在の短期滞在手術基本料3の対象になっている2つの手術については、各手術・検査ごとに新たに評価を設定し、包括範囲を全包括。―が、まさに「DRG」導入です!!ただ、5日目以降に実施した場合は、従来通りの出来高で算定されます。 ここでポイントとなってくるのは、「入院5日までに実施した」という点です(下図参照)。提案のあった「包括化」は、短期滞在手術基本料1~3で対象となる19の術式と検査については、短期滞在手術基本料をなくし包括評価の対象になり、平均在院日数から除かれることになります。「それ以外のものについては、短期滞在手術基本料は残す」(厚生労働省保健局医療課長)ことになります。 131120p104 出典:第258回中央社会保険医療協議会 総会(11月20日開催) 厚労省配布資料P104より http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000029927.pdf 診療側委員からは包括化にしていく方向性には賛成だが「なんでもかんでも包括化にしていくのはいかがなものか」、「提案をすべて一律に行うのではなく慎重に現場の状況を見ながら段階的に取りいれていくのがいいのではないか」という慎重な意見が出されました。 一方、支払側委員からは短期滞在手術について、平均在院日数から除くということには賛成としたうえで、「短期滞在手術などで在院日数を稼ぐのではなく、複雑な疾病に対応する医療施設の機能を担うべき」、「比較的簡単な手術はできるだけ包括化した方がいい」と更に「DRG」を拡大させるべきとの指摘もありました。 次期診療報酬改定の議論の中で「DRG」の議論は、6月に開催されましたDPC評価分科会でも話題となった「高額薬剤に対応するために導入された点数設定方式」(入院基本料を除く薬剤費等包括範囲の点数を入院期間Ⅰの点数に組込む設定)提案と議論に引き続き、2事例目です(※「DPC評価分科会が開催 「隠れDRG」、拡大方向へ」を参照)。今後、更に「DRG」手法の流れを感じとれる議論が中医協で展開中です。この点でも、引き続き、目が離せません。 ■入院基本料での特定除外の扱いはどうなるのか?(「一般病棟入院基本料の見直し」) また、一般病棟入院基本料の見直しでは、「7対1入院基本料の算定要件の見直しに係る経過措置を来年3月31日で廃止」。また、13対1と15対1と同様に「7対1、10対1の特定除外制度を廃止」することが決まりました。 7対1、10対1の特定除外制度を廃止することには、支払側委員からは賛意がしめされていましたが、診療側委員からは「(特定除外制度を廃止することで、)がんの治療などで困る患者さんがいないのか慎重に考える必要がある」との激しい反論もありましたが、「結果として了解する」とし、中医協として「7対1、10対1の特定除外制度を廃止」を決定しました。 特定除外の制度を廃止するによって影響を受ける7対1の医療機関では、自病院での状況の確認は必須です。また、今後、がん患者などの受け入れ態勢については長期療養できる病床を増やすなどの病床再編の検討も必要になりそうです。 131120中医協総会 【参考資料】 中央社会保険医療協議会 総会 (第258回)議事次第 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000029807.html ※「隠れDRG」の解説につきましては、以下のインタビュー記事をご参照ください CBニュース「大胆予想25年 民間の急性期医療は衰退へ- GHCアキ「いびつな医療体制に」(2012年8月9日配信) http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37850.html DPC評価分科会が開催 「隠れDRG」、拡大方向へ(2013年6月28日) /3099.html

広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。