2010年06月07日
元パルアルト市長キシモトヨリコさんとGHC顧問マーティのレクチャー――US研修vol.3
US研修2日目の午後は、スペシャルゲストを招いてのレクチャーでした。
一人目は、スタンフォード大学のあるパロアルト市の元市長のヨリコ・キシモトさんです。キシモトさんはよしかわの先輩で、かれこれ30年近くの友人。もともとコンサルティングなどに携わっていたキシモトさんが、政治の世界に入った一つのきっかけはお子さんが生まれたことだったそうです。車の制限速度を上げる条例ができたときに何人かの仲間を集めて反対し、当時の市議会でディベートを行った結果、キシモトさんたちの反対が通りました。「一人でも、少人数でもアメリカの将来を左右できるんだ」と、その時に強く感じたそうです。
その後、パロアルト市議会の議員になり、2007年には市長に。ちなみに、キシモトさんは、パロアルト市議会の初のアジア人だったでそうです。
今、キシモトさんが目標とされているのは、「歩ける町にすること」。
「カリフォルニアの車社会を変えることが、私のチャレンジ。道路規制を変えたり、電車を近代化したり、過度にある無料駐車場を整備したり、あらゆる方針を変えて、さらに人の教育も行わなければいけません」(キシモトさん)
現在、歩いて学校に行っている子どもの割合は、アメリカ全土では15%程度。パロアルト市では、94年には約34%だったのが、52%にまで増えたそうです。
キシモトさんがめざす「歩ける社会」は、確実に近づいています。
続いて、二人目のゲストは、GHCの顧問であるマーティ・マイケル氏。
病院におけるダッシュボードについてレクチャーをしてくださいました。ダッシュボードとは、経営に役立つさまざまな指標に関する情報を集めたデータベースです。マーティとよしかわは、10年ほど前に日本の大学病院とその系列病院でダッシュボードを作成したことがあります。今回のレクチャーは、それからどのようにダッシュボードが進化しているか、というものでした。
マーティは、ダッシュボードと一言で言ってもさまざまなレベルがあるといいます。「レベル1」は、単純に院内外のデータを集約する機能を備えたもの。レベル2は、データを集約するだけではなく、分析する機能も備えたもの。
そして今、ダッシュボードはレベル3にまで進化しているといいます。まさに意思決定をサポートするためのシステムです。どのような意思決定がカギとなるのか。そしてそれぞれの意思決定には潜在的にどのような選択肢があるのか、ベストな選択肢のなかで実現可能なものはどれか、そしてこうした意思決定を誰が行うべきなのか…などなど。
こうしたレベル3の機能を備えたダッシュボードを構築するには、病院経営者がどのようなことを望み、どのような課題に直面し、どのような意思決定が求められているのかを把握し、システムに落とし込む必要があります。日本の医療界ではなかなかここまでの機能を備えたダッシュボードは存在しませんが、今後、必要となってくるのではないでしょうか。
広報部 |
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