2010年07月02日
継続的革新、組織文化…経営に必要な6つの原則――DPCマネジメント研究会
26日(土)に開催された、第10回DPCマネジメント研究会学術総会に関するレポートの後編です。
まずは、同研究会の理事でもあるGHC塚越の講演から。
「今日から使えるDPCデータ活用術:抗生剤分析」というタイトルで、より実践に即した内容をお話させていただきました。
DPCデータから何が見えるのか、また、分析システムを使うことでどのようなことができるのか、全国の病院とDPCデータを比較することでどのようなカイゼンが可能になるのか、さらにエクセルのピボットテーブルを使用してどのような分析ができるのか、といったことを順に説明させていただきました。
塚越に続いて登壇されたのは、社会医療法人財団慈泉会相澤病院・病院事務部門診療情報管理課の椛島博彰氏。
椛島さんは、「DPCは支払い制度ではなく、物差しです」と明言。病院間ベンチマークの実例を紹介した上で、「最も大事なことは改善に結びつけること。(ベンチマークなどの)グラフは、改善への第一歩です」と説明されました。
改善の一例として紹介してくださったのは、薬剤管理指導料の算定状況。2008年8月時点では月174件だったのが、4ヵ月後の12月には795件になり、その後、800件から900件で推移しています。この際、わかりやすいように、野球の打率のような形で示したそうです。
「今あるものをフル活用することで、人件費率を下げることができるという例です。院長は『収入が増えた分、人に投資しよう』と言ってくれました。がんばることによって、マンパワーを増やすことができる、といういい循環です」と、椛島さん。
講演の最後、病院経営の原則として、①客観性、②差別化、③一貫性、④継続的革新、⑤資源の集中、組織文化――という6つを提示してくださいました。これは病院に限らず、あらゆる組織に共通することかもしれません。そして、最後にさらりとおっしゃったのが、「継続的革新と組織文化ができていることが相澤病院の強みかな」。
絶えず革新を追求し新しい価値を提供するという継続的革新、組織全体に共通する文化――。なかなかできるものではありません!
もう1つ、講演の内容をご紹介します。
「適正なコーディングを目指して」というタイトルでお話されたのが、東京都保健医療公社豊島病院院長の山口武兼先生です。
山口先生は適正コーディングのために行った具体的な施策について紹介してくださいました。
○間違いやすいコードなについて、院内情報誌で情報を発信
○出来高比でマイナスの大きい疾患について、算定できる副傷病を列挙したシートを作成
→「肺炎040080」の場合、「副傷病あり」による算定が大幅増
○DPC担当と病歴室の連携を密にし、互いに問い合わせ・確認を行うことで精度を向上
○長期入院患者の一覧を作成し、コードを再確認
こうした細かい取り組みを重ねた結果、返戻・査定件数がDPC導入前の6分の1にまで減少したそうです。
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広報部 |
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。
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