2010年07月15日
「エビデンスに基づいた政策提言を」日本病院会会長・堺氏
昨日から、日本病院会と日本経営協会主催の国際モダンホスピタルショウ2010が始まっています。東京ビッグサイトを会場に、7月14日(水)、15日(木)、16日(金)の3日間に渡っての開催です。毎年恒例、医療・介護関連では最大規模の展示会だけに、初日から多くの人でにぎわっていました。
さて、日本病院会会長・堺常雄氏のオープニングセッションに参加してきたので、そのご報告を。
オープニングセッションのタイトルは「輝ける明日の病院医療に向けて」。「病院と病院で働く人のため」の団体である日本病院会会長としてのメッセージのこもった講演でした。
「医療崩壊」といわれるときに、よく指摘されるのが「医師臨床研修制度がいけなかった」ということ。堺氏は、こうした考えを否定し、「医療崩壊は一夜にして起こったものではなく、医師臨床研修制度だけが諸悪の根源ではない」と指摘します。
そして、病院医療が輝くための3つの視点として、①人材の確保と育成、②情報の有効活用(見える化)、③継続と連携:チーム医療――を挙げます。これらについて、政府・行政、地域、病院がそれぞれ役割を担わなければいけないと訴えました。
政府・行政の役割のなかで指摘した1つは、「財源論は避けては通れない」ということ。
「安全な医療を行うには、どのくらいのコストがかかるのかを明示していなかった。これはわれわれの責任でもあります」と、堺氏。
また、人材の確保と育成に関しては、メディカルスクールの導入にも言及されました。大学院レベルの医学教育を行う医師教育機関(メディカルスクール)を提唱し、2008年9月に四病院団体協議会から報告書を出しているものの、日本医師会などは反対しているそうで、なかなか議論が発展しないそうです。
地域については、都道府県ごとに地域保健医療計画が策定されていますが、「立派な計画を立てているが、立てることで満足して、その後のPDCAサイクルがない」と厳しいコメント。
一方、病院の役割の1つとして、「見える化の実践」を挙げ、堺氏が院長を務める聖隷浜松病院での取り組み例をいくつか紹介されました。1つは、術式別成果計算で、術式別に収益、費用、利益、原価率などを可視化し、「がんばっているところを正当に評価する」仕組みを設けているそうです。また、院内だけではなく、二次医療圏内でのポジショニングなども見える化しているとのこと。
最後に、日本病院会の役割として、「患者さんに対しては質の高い医療を提供すること。そして、行政に対しては、データを収集してエビデンスに基づいた政策提言を行いたい」と話されました。
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