2010年07月26日
抗MRSA薬投与症例におけるTDMの実施率は0%から100%まで病院によってさまざま
「DPCマンスリーレポート」の7月号の配信を始めました。
今回の特集は、「
抗菌薬の使用実態調査」です。
分析では、重症感染症に用いられる抗MRSA薬、カルバペネム系抗菌薬の2つに焦点をあて、使用実態に関する病院間ベンチマークのほか、感受性検査を実施したうえで使用されているか、血液濃度測定が行われているかなど、適正使用という観点から分析を行いました。
ここでは抗MRSA薬に関する分析の一部を紹介します。
分析対象としたのは、注射剤であるバンコマイシン塩酸塩(代表的な先発商品名「塩酸バンコマイシン」)、テイコプラニン(代表的な先発商品名「タゴシッド」)、アルベカシン(代表的な先発商品名「ハベカシン」)、リネゾイド(以下、代表的な先発商品名「ザイボックス」)の4製剤。
今回は、400床以上600床未満と対象病院を絞ったものの、その使用状況には病院間で大きな差がありました。
まず、抗MRSA薬の投与症例の割合は、全体平均が1.4%。最も高い病院は約3.5%で、最も低い病院では0.5%を下回っていました。
また、バンコマイシン塩酸塩、テイコプラニン、アルベカシンの3剤を安全かつ有効に投与するために実施することが望ましいと添付文書に記載されているのが、血中濃度測定モニタリング。これは、特定薬剤治療管理料として、月1回の管理料を算定することが認められています。
この血中濃度測定モニタリング(TDM)の実施状況について病院間で比較したところ、100%の割合で実施している病院から、0%、10%台の病院まで、投与症例数の多寡にかかわらず、大きな差が生じていました。実施率の低い病院では、「なぜ、低いのか?」「本当に必要ないのか?」検証が必要です。
さて、このほかの7月号のコンテンツは下記の通りです。
■特集……抗菌薬の使用実態調査
■ケーススタディ……その他の感染症
■工藤高氏の連載……地域医療指数を増やす方法
■真野俊樹氏の連載……医療環境の変化~2010年の方向性~
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