GHCブログ

2010年09月22日

「『日本一になる』と決めなければ、日本一にはなれません」高野登氏――GHC感謝祭ver.1

18日(土)、日頃からお世話になっている方々を招待し、「グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン感謝祭」を開催いたしました。土曜日にもかかわらず、全国から多くの方々にご来場いただきました。本当にありがとうございました。そして、実際はご招待させていただいた方のみではなく、もっと多くの方に支えられています。当日、ご招待できなかった方も含めて、GHCメンバー一同より改めて感謝の言葉をお贈りさせてください。

いつもGHCを支えてくださり、本当にありがとうございます。


さて、感謝祭は、講演会と会食の2部構成で、前半では、人とホスピタリティ研究所所長、ザ・リッツ・カールトン・ホテル 元日本支社 支社長の高野登氏、メイヨー・クリニック 名誉最高経営管理責任者、アリゾナ州立大学 医療政策研究プログラム 副所長のロバート・スモルト氏をゲストスピーカーに招き、 講演を行っていただきました。お二人のお話は、組織文化の醸成が一番大切という点で根本のメッセージは共通していました。

まず、最初に登壇いただいた高野氏は、ザ・リッツ・カールトン・ホテル(以下、「リッツ・カールトン」)の創設者陣から聞いたという、同ホテル誕生当初のエピソードを紹介してくださいました。

高野登氏

ハイアットやヒルトンの元経営陣が集まって、リッツ・カールトンという新たなホテルカンパニーを創設しようと考えたときに、まずディスカッションを行ったのは、「本当に世の中に新しいホテルが必要かどうか?」ということだったそうです。出た答えは、「意味はないだろう」。どうしたら意味があるかと、さらに突き詰めて考え、「ホテルカンパニーという概念を捨て、社会の新しい価値を生み出そう」と決意したそうです。

また、リッツ・カールトンは「ラグジュアリー」の概念も変えました。ラグジュアリーとは、通常、「豪華なさま」「贅沢なさま」といった意味を持ちます。そうではなく、「究極のラグジュアリーとは社会貢献である」と考えたそうです。そして、「社会貢献を行ってから帰りませんか?」と、お金を払って富士山の清掃に参加していただくなど、客を巻き込んで「究極のラグジュアリー」を追求。ボランティアの様子をDVDやフォトブックに送って自宅に送付するといったサービスも行ったところ、参加した客から共感を呼び、リッツ・カールトンのファンが増えていったそうです。 そしてこうした体験は、従業員も共有。参加した従業員は「心に違うスイッチが入って、戻ってきた」そうです。

リッツ・カールトンの経営の考え方として、次のような円を書いてくださいました。 「リッツ・カールトン」という組織を中心に、3つの円が重なっています。 それぞれが、「従業員とその家族」「取引業者さんとその家族」「顧客」を意味していますが、どの円がどれを指すと思われますか?

リッツ・カールトンの考え方

正解は、真ん中の円が従業員、2番目が取引業者、3番目が顧客。意外かもしれませんが、この順番で重視しているのです。というのは、従業員満足を高め、一人ひとりの従業員が「ホスピタリティ」を実現することで顧客の満足につながるからです。

ここで、高野氏は、「ホスピタリティ」とは、「相手の心に自分の心を添える力」「生き方そのもの」と説明されました。

とはいっても、従業員が最初からリッツ・カールトンが提唱するホスピタリティの心を持っているとは限りません。たとえば、高野氏がリッツ・カールトン大阪を立ち上げたとき、「約460人の寄せ集めのホテルマンは、ばらばらな感性を持っていました」(高野氏)。どうやって統一していったかというと、「トップである高野氏が『日本一のサービスという評価を得るホテルになる』というめざすホテルの形を決め、それに向かって処方せんを書いていった」(高野氏)そうです。

「『日本一になる』と決めなければ、日本一にはなれません」

また、概念を伝えるだけでは忘れてしまうので、文化、風土とするために、リッツ・カールトンが使っているのが有名なクレドカードです。設立当初は、「毎日、自分たちの理念と哲学について考える時間を最初は強制的にとりました」(高野氏)。

リッツ・カールトンという組織の文化、風土は、そうやって経営陣が築いた土台の上に、めざすべき方向性を共有した一人ひとりの従業員が層を築き、できあがっているものなのかもしれません。

医療とホテルと世界は異なりますが、病院にとっても学ぶべきところの多い講演でした。

長くなってしまいましたので、スモルト氏の講演については、明日のブログでお伝えします!


広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。