GHCブログ

2010年09月28日

「全病院の平均在院日数が10日になったら、すべての病院が生き残れるでしょうか?」――アボット ジャパン主催病院経営セミナーvol.2

イベントごとが続き、随分と遅くなりましたが、17日のブログで紹介したアボットジャパン主催病院経営セミナーの後編について。医療法人橘会東住吉森本病院の常務理事・浅田俊勝先生のお話もとても興味深く、勉強になるものでしたので、ご紹介させてください。

GHCアキよしかわの講演に続き、医療法人橘会東住吉森本病院の常務理事・浅田俊勝先生が、「平成22年度診療報酬改定と今後の病院経営戦略」というテーマで講演をされました。

余談ですが、講演前に少しお話をさせていただく機会がありましたが、誰に対しても丁寧で、しっかりと話を聞いてくださる、とても素敵な方でした。

東住吉森本病院・浅田氏

さて、講演内容はというと、危機意識を持った、とても力強いメッセージでした。 なかでも印象深かったメッセージをいくつかご紹介します。

もしも開業医の先生方が勉強されて、「顔馴染みだから」ではなく、「手術件数が多いから」と、紹介先の病院を選ぶようになったら? 厚労省が公表しているDPCデータを見たら、わかるわけです。

船井総研の船井幸雄さんがよく言われるのは「企業で残るのは、地域で一番、一流、一体化」。病院の場合も同じ、あるいは特にそうかもしれません。今までは「一番である」、「一流である」という指標がなかったが、DPCによってわかるようになった。厳しい環境になっているけれど、強い病院は必ず残ります。

地域医療係数の7項目すべてを取れている病院は全国で5病院のみ。一方で、1項目も取れていない病院が37病院もあるんです。そうした病院は生き残れるのでしょうか?

DPCでいろいろなことがわかるようになってきました。もし、こうした情報を患者さんが読み取れるようになったら、恐いです。選ばれるわけです。

DPCの改定のたびに在院日数は短くなっています。平均在院日数が10日を切るまでにそうはかからないでしょう。入院期間Ⅱに入らなければ、点数が落ちるのですから。仕掛けはすでにできているんです。

もしも、全国の病院の平均在院日数が10日になったら、病床利用率は40%台になります。そしたら、すべての病院は生き残れるでしょうか?

大阪では在宅療養支援診療所が増えています。それに伴って、24時間体制の調剤薬局、訪問看護も増えています。そして、そうしたところは実績をあげています。国の方針に乗っかって努力しているところは実績も伸びているのです。


地域で公表する医療機関リストの例

これは、平成21年10月に「傷病者の搬送及び受入れの実施基準等に関する検討会」が公表した報告書で、地域で公表する医療機関リストの例。インディケーターを持っていない病院はこうしたリストには決して載りません。

以前は入院患者「1」に対して外来は「2」でした。今は、入院「1」に対して外来は「0.7」。紹介状を持たない外来患者に対しては、特定療養費を2000円とるようにしました。その結果、外来はどんと減りました。紹介患者を大事にする、開業医との連携を密にするという姿勢です。つまり、地域完結型の医療に向かっています。

DPCではやはり淘汰が起こります。すべての病院は絶対に生き残れません。ただし、強い病院が生き残ります。


テンポ良く力強い浅田先生のメッセージに、会場は圧倒されていました。

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広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。