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2010年10月27日

1日あたりか、1入院あたりかで議論――DPC評価分科会

26日(火)、中医協・診療報酬調査専門組織DPC評価分科会が開催されました。 今回の議題は下記の3点。 1. 「平成22年度DPC導入影響の評価に係る特別調査について」 2. 「機能評価係数Ⅱの運用について」 3. 「DPC制度における基本的な考え方について」

議題1については、これまでの検討の整理を厚労省事務局が報告するという形で終わり、本題は、議題2と3でした。

DPC評価分科会

「機能評価係数Ⅱの運用について」で焦点となったのは、係数の改定実施時期と「部位不明・詳細不明コード」について。

このうち、係数の改定時期に関しては、厚労省が以下のように提案。

・機能評価係数Ⅱの改定実施時期は毎年4月1日 ・データ提出指数、効率性指数、複雑性指数、カバー率指数、救急医療係数は毎年4月~10月の7ヶ月分の診療実績データで評価(※平成23年度は平成22年7月から10月までの4ヶ月分) ・地域医療指数は4月1日実施に向けて、10月1日を評価基準日とする

これに対して、三上裕司委員(日本医師会常任理事)や酒巻哲夫委員(群馬大学医療情報部教授)などから、「11月から3月までのデータを使うことは難しいか?季節的にデータが変わりやすい」「『1年に1度の改定は変えられないので、原案のままいかせてほしい』ということだろうが、『11月から3月までのデータが使われないというのは、DPC評価分科会としては認められない』と、差し戻してほしい」といった反論が挙がりました。 これらに対し、厚労省事務局は、「(係数は)絶対評価ではなく、相対評価であり、時期が変わっても役割分担は変わらないだろう」「通年のデータを使うことは可能だが、その場合は一昨年度の11月から3月のデータを使うことになり、データが古くなる」と説明。他の委員からも、「(データを)長くとると古くなるということであれば、まずは原案通りにやって、季節変動がどのくらい影響するのか検討すればいいだろう」とフォローする意見が挙がり、最終的には原案通りにまとまりました。

また、データ提出指数の「部位不明・詳細不明コード」に関しては、 ①「データ提出の遅滞」は、翌々月に1ヶ月間50%評価を減じる ②「部位不明・詳細不明コードの使用割合が40%以上」の場合、当該評価を1年間5%減じる ◎「部位不明・詳細不明コード」は、分類名に「●●不明」「●●不詳」の単語が記載されているもので、4桁以上のICDコードで判定 という厚労省案に特に反論はなく、了承されました。


議題3のDPC制度における基本的な考え方については、今後、分科会で検討すべき論点を整理。厚労省が論点案として挙げたのは下記4点です。

①包括評価の対象患者  →現行の対象患者・除外患者の整理に課題はあるか?  →精神病棟へのDPC制度適用については? ②包括評価の対象とする診療報酬項目  →抗がん剤を含む高額薬剤などの取り扱い  →包括範囲の設定の基本的な考え方に課題はあるか? ③包括評価の算定方式(1日当たり定額報酬算定)  →1日あたりの定額報酬算定方式に課題はあるか?  →平均在院日数による3段階の設定方式に課題はあるか? ④医療機関別係数による評価  →医療機関別係数のあり方  →医療機関別係数を設定すること自体に課題はあるか?

①の「精神病棟へのDPC制度適用」とは、厚労省事務局の説明によると、「精神病床に入院している、MDC17のカテゴリー(のDPCコード)に該当する患者」。 DPCは一般病棟に入院している患者を対象としていますが、DPCの対象となる疾病には、「精神作用物質使用による精神および行動の障害」、「統合失調症」、「気分(感情)障害」といったMDC17に該当するものも含まれています。厚労省事務局は、「同じような疾病の患者さんが精神病床に入院するケースもあり、病棟が異なるというだけで、対応が変わることをどう考えるか」と、問題を提起しました。

これについては、とりあえずは現行のままで運用し、今後、データを検証しながら、検討を続けることで合意。

また、1日あたりの定額制度に対する是非についても議論が行われ、伊藤澄信委員(国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長)が、「平均在院日数が長いままなのはDPCのせいとの意見も聞く。このままでは、在院日数、病床数ともに国際標準に向けて改善しないのでは?」と指摘。

しかし、西岡清分科会長(横浜市みなと赤十字病院名誉院長)をはじめ、松田晋哉委員(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)、小山信彌委員(東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科部長)などから、否定する意見が相次ぎました。 「アメリカの医療文化と日本の医療文化は違うので、アメリカと同じになるのは無理。しかし、実際はDPCによって在院日数は減少している。DPCだから短くならない、病床も減らないと決めつけるのは難しいのでは?」と西岡分科会長。 続いて松田委員も、「DPC病院のみで比較をすると、OECDのなかの(平均在院日数が)長い国に近づいている。日本国民は欧米並みのものは求めているのか?」。また、小山委員も、「あれ(アメリカの状況)は医療ではないですから。たとえば全身麻酔の症例であれば、1週間か10日くらいでいいだろう。欧米並みに短くすることで、患者さんにとって利益が生じるのか?」と疑問を投げかけました。

西岡分科会長

こうした議論の結果、1日あたりの定額報酬という現行のまま継続することで了承。 会の最後、「実際の議論は、②(包括評価の対象とする診療報酬項目)と④(医療機関別係数による評価)に集中し、進行するということで」と西岡分科会長がまとめ、包括患者の対象患者と1日あたりの算定方式に関しては、現行のまま継続、という方向でまとまりました。


◎厚生労働省:平成22年度第7回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 <配布資料>   http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000uytu.html

広報部
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