2011年03月04日
病院経営改善のために走り続けて―那覇市立病院副院長島袋洋先生インタビューvol.2
今回も、前回に引き続き、GHCマネジャーの相馬理人が、地方独立行政法人那覇市立病院副院長の島袋洋先生に同病院での手術室改善に向けた取り組みについてインタビューさせていただいた様子をお伝えします。
島袋 僕は2年くらい前から入院前検査センターを立ち上げるために院内で動き出しました。そのさらに1年くらい前から動いていたのが、地域医療支援病院の承認です。地域医療支援病院の承認を受けるにあたって、気づいたことは、救急患者の紹介が少ないこと。うちよりも職員が少ない近隣の病院のほうが、救急患者を受け入れていたんです。救急患者を数多く受け入れるためには、ベッドコントロールも重要です。救急患者が搬送されてきても、ベッドがいっぱいで入れないと断るケースを少なくするために、ベッドコントロール室の計画もすべて企画しました。その次に、入院前検査センターの整備にとりかかりました。そこで、月曜日の手術が少なかったため、月曜日の手術を増やすための対策からとりかかりました。すべてリンクして考えていたことでしたが、院内で十分に理解されていなかったのは少々つらかったです。
相馬 そうでしたね。月曜日の手術を増やすかわりに、「金曜日の手術を現在の1枠減らして欲しい」といった要望が出た時に、実際の分析結果をみたら、現状でも十分な稼動が保てていなかったということがわかり、そうしたデータに基づいたファクトを示したことによって、納得してもらいました。
島袋 ああいう風に実際のデータを見せられると、納得できます。ドクターって、変な人種だと思うんだけど、データに弱い。そうしたデータをちらり、ちらりとみせると、文句をいえなくなっちゃうんですよね。
相馬 実証データによる裏付けは実に効果的だと思います。数字(客観的指標)をみせれば、理解力のある医師に多くを語る必要はありません。
島袋 手術室の改善がすすんだことによって、手術を待っていた患者さんの数も減り、医療の質の向上にもつなげることができました。 「患者」とは、「串刺しにされた心」の「者」と書きます。それを「患者」と読むんです。だから、患者さんが外来に来る時は「癒されたい、治してももらいたい」と入ってきます。だからこそ、優しく一緒になって考えてあげることが必要なんです。手術室の改善もこの「患者さんだったらどんな医療を受けたいか」という視点からスタートした取り組みです。那覇市立病院は、GHCが入ってくれたことによって良い方向に向かっています。他院とのベンチマーク分析の結果から、他院と自院の差を比較検討したことによって、医療の質のレベルにおいてもっと上があることを知ることができました。さらに、現状を認識することによって、内部の士気もあがりました。現状に満足し、安穏としていても病院は進歩していきません。病院経営を改善するためには、常に前に向かって、職員が一丸となって走っていかなければならないのです。自分ひとりで走りすぎてはだめだけれど、走らないと止まってしまいますから、走り続けていくしかないのです。
相馬 今日はお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。
島袋副院長と相馬。島袋先生ご多忙のなか、
ありがとうございました
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広報部 |
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