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2011年06月13日

高額薬剤の取り扱いに関するヒアリングを実施

6月13日、平成23年度の第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会が厚労省で開催されました。 当然ですが、会議室の空調は作動されておらず、むっとする熱気のなかで、同委員会は進められました。


湿度の高い会議室内で傍聴する多くのマスコミ関係者




さて、今回は全国から7名の医療関係者(表)を招き、「DPC/PDPSにおける高額薬剤の取扱いに係るヒアリング」を実施。各ヒアリング対象者はそれぞれ、10分程度のプレゼンテーションの時間を与えられ、資料とともに各病院における調査と分析結果が発表されました。

(表)


ヒアリング対象者はそれぞれ、自病院の高額薬剤における「入院日数別のDPC点数と薬剤点数」や「自病院ではどのように高額薬剤が使用されているか」などについて発表。発表のなかで、「抗がん剤は出来高扱いにすべき」「リウマチ分野における生物学的製剤については、すべてDPCの対象外とし出来高とする」などの提案がありました。 また、胃がんにおけるハーセプチンについては、「適正使用した場合、包括評価だと赤字なる可能性が高く、治療の実地を抑制している医療機関もあるのでは」といった意見もありました。

合計、80分弱のアリングが終了した後は、小山信彌分科会会長(東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科部長)から、下記4つの論点から、プレゼンテーションに対する意見が求められました。 1、在院日数への影響 2、新たな高額薬剤のDPC/PDPSにおける取扱い 3、DPC精緻化のあり方 4、長期継続的な投与を要する高額薬剤の範囲

まず、「在院日数の影響」については、小山分科会会長から「短期入院で採算が合わなくなることについて検討すべき」としたうえで、「在院日数が短くなりすぎて患者さんが被害をこうむっている。在院日数を長くすることにもインセンティブを与えていくべき」といった主旨の内容が述べられました。 「新たな高額薬剤のDPC/PDPSにおける取り扱い」については、適正使用が阻害されるケースが出現してしまうなどの問題点に対応するために、運用上の工夫が必要といった意見がありました。 「DPC精緻化のあり方」に対する意見としては、「分析はコンピューターがやってくれるため、細かく精緻化していただいたほうが良い」といった見方があったものの、可能な限り、「簡素化・包括化」する努力をしながら、細かい分類が必要な薬剤については適宜、検討していくといった方向でまとまりました。 「長期継続的な投与を要する高額薬剤(HIV感染症治療薬など)の範囲」については、重篤な病状をともなう病気であるため、現行の「HIV感染症に使用する抗ウィルス薬(HIV感染症治療薬)及び血友病等に使用する血液凝固因子製剤については出来高算定とし、包括範囲から除外する」といった方向で問題ないのではといった意見がありました。

今回の議論の過程で、数人の委員から、「良質な医療の提供」という観点からではなく、出来高で請求できるといった採算性の観点から治療を外来で行うケースがあるといった内容の指摘がありました。これを受けて、相川直樹委員(慶応義塾大学名誉教授)は、「外来が逃げ道になっている」とし、「今後は入院だけでなく外来での包括評価の導入も検討していくべき」といった内容を主張。小山分科会会長からも「今後は、外来を包括で評価していく可能性が出てくるだろう」といった主旨の発言がありました。

なお、「高額薬剤の取扱い」については、本日のヒアリング内容を踏まえ、次回、7月に開催される同分科会にて、さらに議論を深め、各論点における結論が出される予定です。

参考資料:厚生労働省ホームページ 「平成23年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 議事次第」 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001fddq.html

広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。