GHCブログ

2012年07月03日

第9回CQI研究会を開催! 全国89病院が参加し、がん医療の質について議論

6月30日、全国町村議員会館(東京都千代田区)で第9回Cancer Quality Initiative(CQI)研究会を開催いたしました。 満員の会場 同研究会は、栃木県立がんセンター、千葉県がんセンター、神奈川県立がんセンター、愛知県がんセンター、四国がんセンターの5つのがん専門病院の有志が集まって2007年に誕生。がん医療の質(プロセス指標)に関するベンチマーク分析を通して、クリティカルパスやチーム医療体制等の質改善につなげ、がん医療の均てん化に寄与することを目的としています。GHCは設立当初から分析業務を担当しています。 第9回では、全国89病院が参加し、乳がん、大腸がん、胃がんにおける手術プロセスについてベンチマーク分析を実施。昨年の第8回と比較すると、参加病院数も増え、会場には約100人もの医療関係者が集まり、活発な議論が繰り広げられました。 開会の挨拶をする中川原 章先生 (千葉県がんセンター センター長) これまでの活動報告する浜野公明先生 (千葉県がんセンター 経営戦略部長) セッション1 では、清水 秀昭先生(栃木県立がんセンター 病院長)が座長を務め、藤 也寸志先生(九州がんセンター 副院長)、冨吉 則行(グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン マネジャー)が乳がん、胃がんについて病院間で分析した結果を発表。 手術後の在院日数の分布や検査、治療、クリティカルパスの違いなどをDPCデータやアンケート結果をもとに比較分析しました。 乳がんでは術後のリハビリテーションの実施率が20.8%で、リハビリテーションを実施する病院と実施しない病院が明確にわかれていました。 胃がんでは、開腹手術と腹腔鏡手術とも病院間で術後日数にばらつきがあり、特に開腹手術では、各病院が設定しているパスと比較すると長くなる傾向がありました。そのほか、胃全摘した場合でも、術後1日目から水分を摂取させる医療機関も多くある一方で、3、4日目から開始する医療機関もあることがアンケート結果から明らかになりました。 ディスカッションでは、乳がんにおける術後30日以内の再手術の発生率の解釈についてさまざまな意見があがりました。胃がんでは、予防的抗生剤の投与日数を長くしてもSSI(Surgical Site Infection:手術部位感染)の発生率の低下にはつながっていないことが示唆されました。 清水先生 GHCの冨吉 先生 セッション2では、望月 泉先生(岩手県立中央病院 病院長)の座長のもと、吉田 功先生(四国がんセンター 血液腫瘍内科 医長)が大腸がんについて分析結果を発表しました。 初回投与注射抗生物質製剤投与日数とパスとの比較において、日数の平均値とパス設定日に乖離がある医療機関が多くみられました。また、直腸がんの化学療法を実施する前に遺伝子多型のチェックをしてない医療機関が30%程度あったことがアンケート結果から明らかになりました。 ディスカッションでは、ドレーンの使用方法について、全症例に留置すべきといった意見や、反対に基本的にドレーンは必要ないといった意見があがり、各医療機関で治療方針に差があることが明確になりました。 望月先生 吉田先生 セッション終了後、来年の6月岩手県で開催される第15回医療マネジメント学会で第10回CQI研究会のセッションをシンポジウム形式で取り入れることと、演題を公募することが望月先生から発表されました。 最後に、代表人世話人である篠田 雅幸先生(愛知県がんセンター中央病院 院長)は、参加施設が年々増加していることを、「この会に対する評価と期待の表れ」と述べ、今後の課題としては、「医療の質を経年的に比較していくクオリティインディケーターは何か」、「現場へのデータの還元方法」を同研究会でのディスカッションを通して、検討していきたいと発言。会場に向かって、同研究会への参加のお礼とともに「分析項目についても会場のみなさんの意見をお聞きしたい」と呼びかけ、同研究会を締めくくりました。 その言葉に会場からは大きな拍手がわきあがり、第9回CQI研究会は、幕を閉じました。 篠田先生

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。