GHCブログ

2014年07月24日

看護師数や分娩件数、7月の状況を10月に毎年報告-病床機能報告制度「6年後の意向」も

 地域ごとの医療提供再編を促す狙いでスタートする「病床機能報告制度」の中身を話し合う検討会が24日開かれ、全国の病院や有床診療所が各都道府県に報告する具体的な内容を固めました。それによると、全国の病院や有床診療所は「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの機能の中から自分たちがカバーするものを病棟ごとに1つずつ選択。これに合わせて、看護師など医療機関の人員配置や分娩件数などの7月現在の状況と、6年後にどの医療機能をカバーする意向かを毎年10月中に報告します。  先の通常国会で改正医療法が成立したのに伴い、病床機能報告制度の運用は今年10月にスタートすることになっていて、厚労省ではこうした内容を都道府県などに通知したり、報告制度に円滑に対応できるように医療機関向けのマニュアルなどを作成したりして、準備を進めます。  医療機関からの報告を基に、各都道府県は医療機能ごとの地域での必要量などを盛り込む「地域医療構想」(地域医療ビジョン)の策定に15年度から順次、着手します。一方、厚労省はビジョン策定のためのガイドラインを14年度内に固める方針を決めています。このため、新たな検討会を9月に立ち上げてガイドラインの具体化を急ぎます。  病床機能の報告制度をめぐっては、医療機関に報告を求める具体的な内容についての話し合いを「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」で進め、24日にはこれまでの議論の整理案がまとまりました。  それによりますと、医療機関が各都道府県に報告するのは「構造設備・人員配置などに関する項目」と「具体的な医療の内容に関する項目」の2本立てで、構造設備と人員配置については、7月1日現在の状況を10月1日から10月末にかけて毎年報告します。このほか、高度急性期から慢性期までの4つの医療機能のうち、6年後にどれをカバーする意向かも毎年、報告を求めます。  構造設備・人員配置関連の項目に盛り込まれたのは、DPC対象病院ならDPC病院Ⅰ-Ⅲ群のどれに位置付けられているかや、医療機関全体と病棟ごとの看護師やリハビリテーションスタッフの人数などです。  一方、医療の内容については、臓器別を含む手術件数など大半の項目は、当面は7月審査分のレセプトデータを使って自動的に集計しますが、制度の運用状況を踏まえて複数月分のレセプトデータを集計する方向で検討します。重症患者の割合や保険適用外の正常分娩の件数、救急車の受け入れ件数などレセプトから拾えないものは、病棟ごとの報告を求めます。  重症患者は「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」を満たすことが条件で、この必要度の測定が必須ではない入院料を算定している病棟には報告を求めないということです。
高度急性期に「特定機能病院の高密度病棟」を例示―慎重論次々
 厚労省はこの日、高度急性期機能に該当すると考えられるものの例として、診療密度が特に高い医療を提供する特定機能病院の病棟を挙げました。同省は、報告制度の具体的な中身を都道府県などに通知する際、こうした内容を盛り込む考えでしたが、検討会のメンバーから慎重論が相次ぎ、見送ることになりました。  厚労省の担当者は会合の席上、「特定機能病院全体ということではなくて、その中の診療密度が高い病棟は高度急性期に該当する例の一つではないかと思う」などと説明しましたが、「特定機能病院」という表現を加えた書きぶりだと、それ以外の医療機関では高度急性期の機能を選択できないと受け取られかねないといった慎重論が相次ぎました。  厚労省側はこのほかに、「救命救急病棟、集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、新生児治療回復室、小児集中治療室、総合周産期集中治療室であって、診療密度が特に高い医療を提供する病棟」も例に挙げました。しかし、こうした内容に対しても「この文言は必要なのか。これがないと高度急性期機能とは言えないと見えてしまう」(中川俊男・日本医師会副会長)といった声が上がりました。  厚労省側は「何らかの例があった方が、一定の目安になる」などと理解を求めましたが、その後も慎重な書きぶりを求める意見が相次ぎ、表現を見直すことになりました。

広報部
広報部

事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。