2014年04月19日
DPC病院群と病床機能の整合性を検討へ―“隠れDRG”拡大も、厚労省がたたき台
診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会が4月18日開かれ、厚生労働省は2年後の診療報酬改定に向けた検討課題のたたき台を提示しました。それによると、同分科会では今後、地域ごとの医療提供体制の再編をにらみ年度内に運用が始まる「病床機能報告制度」とDPC病院群の整合性や、高額薬剤などのコストを入院初日に集中して支払う点数設定方式(“隠れDRG”)の拡大などについて検討する見通しです。DPC病院群については、Ⅰ群を含めて設定の仕方を見直すべきだとの意見も出ました。
DPC病院群の見直しは、2014年度の診療報酬改定に向けてⅢ群の細分化が焦点になり、最終的に見送られましたが、次の改定に向けて引き続き大きなテーマになりそうです。
この日は14年度に入って初めての会合で、同分科会では今後、正式な検討課題を固めた上で中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会に提案。具体的な審議はその後にスタートするという流れです。
厚労省が提示したたたき台は、▽14年度診療報酬改定の影響の検証▽14年度改定以降、引き続き審議するもの▽その他の検討課題-など4通りで、分科会の委員からは、こうした内容への反対意見は出ませんでした。
14年度改定以降の検討課題としては、病床機能報告制度とDPC病院群の整合性のほか、「CCPマトリックス」の導入などが盛り込まれました。CCPマトリックスは、入院患者の重症度や医療資源の必要度などを反映させながら、診断群分類を精緻化できるようにする狙いで導入を検討していて、厚労省の研究班が現在、具体化を進めています。
一方、その他の検討課題に挙がったのは、いわゆる“隠れDRG”の取り扱いや新たな国際疾病分類(13年版ICD10)への対応などです。このうち“隠れDRG”については、医療の標準化が特に進んでいる診断群分類に適用を拡大する方向で検討します。
小山分科会長「DPC病院群、1群含め検証を」
病床機能報告制度は、「高度急性期」や「一般急性期」といった医療機能のうち、自分たちがどれをカバーしていて、将来はどれをカバーする計画かを、病院が病棟単位で報告する仕組みです。ただ、高度急性期や一般急性期を提供する病院の具体像はまだ固まっておらず、今後はこちらの審議状況も見守りながら、DPC病院群との整合性について話し合うことになりそうです。
この日の会合では、DPC病院群の設定の見直しを求める意見が、複数の委員から上がりました。
DPC対象病院は4月現在、全国に1585病院あり、診療密度の高さや患者に提供している手術の難度などによってDPC病院Ⅰ群(大学病院本院80病院)、Ⅱ群(Ⅰ群並みの99病院)、Ⅲ群(それ以外の1406病院)に分類され、基本的な診療機能を評価する「基礎係数」がこれらのグループごとに設定されています。ただ、このうちⅢ群には、地域の中核病院や専門病院など多様なタイプの病院が含まれるため、美原盤委員(脳血管研究所附属美原記念病院長)はこの日の会合で、16年度改定で細分化すべきだと改めて主張しました。
すると、小山信彌分科会長(東邦大学医学部特任教授)は、「Ⅰ群においても結構な差がある」と述べ、病院群の設定方法をⅠ群も含めて検証する必要があるとの認識を示しました。相川直樹委員(慶應義塾大学名誉教授)もこれに同調しました。
広報部 |
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