2014年03月26日
Ⅱ群からⅢ群に26病院、ネックは「高度な医療技術」―厚労省「外保連試案見直しが影響」
中央社会保険医療協議会の総会が3月26日開かれ、2014年度の診療報酬改定に伴い、DPC病院Ⅱ群の26病院がⅢ群に移行する見通しなのを受けて、厚生労働省は、Ⅱ群の実績要件のうち「高度な医療技術の実施」をクリアできなくなった病院が多いとの見方を示しました。高度な医療技術を提供できているかどうかは、それぞれの病院で行っている手術の難度などが基準で、この難度を測る指数の計算に使う「外保連手術試案」を、最新版に切り替えた影響が大きいと同省では見ています。支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)の質問に答えました。
26日の中医協総会の様子
DPC病院Ⅱ群は、Ⅰ群(大学病院本院の80病院)並みの診療密度や機能を持つ病院で、ここに加わるには、▽診療密度を示す「1日当たり包括範囲出来高平均点数」▽高度な医療の実施―などの実績要件すべてでⅠ群の最低ラインをクリアする必要があります。高度な医療の実施は、手術の難度を示す「外保連手術指数」がどれだけあるかなどで判断します。
14年度には、現在の90病院のうち、これらの基準をクリアできなくなった26病院がⅢ群に移行する一方、Ⅲ群の34病院が新たにⅡ群に加わります。このほか、1病院はDPC準備病院からⅡ群に移行するため、Ⅱ群の病院数は差し引き99病院になる見通しです。
総会では、14年度診療報酬改定のうちDPC関連の対応を厚労省が報告しました。白川委員は、Ⅱ群からⅢ群に26病院が移る点について、「意外に大きな数字」だと指摘。3つの実績要件のうちどれがネックになったのかを質問しました。これに対して厚労省は、「いちばん影響があったと思われるのは高度な医療の実施で、一部は医師の研修の実施も関係している」と答えました。
白川委員が「高度な医療技術と研修の実施の状況が、2年間でそんなに変わることはないのではないか。今回が初めての見直しだが、2年前は若干、判定が緩かったのではないかという感想を持った」と話すと、厚労省は、手術の難度を測る指数の計算に使う外保連試案を最新の8.2版に切り替える過程で、各学会が手術の難度を見直したことが病院の入れ替わりに影響したとの見方を示しました。
GHCの試算では、外保連試案の8.2版への切り替えにより「経皮的脳血管形成術」など19種類の手術では、難度を示す最終的な点数が30点以上下がったのに対し、「動脈形成術または吻合術・頭蓋内動脈」など6種類では逆に30点以上、上がりました(図表)。
「指導医療官」派遣の評価、初年度は柔軟に運用
厚労省はまた、DPC病院Ⅰ群の大学病院が地方厚生局に「指導医療官」として医師を派遣した場合、機能評価係数Ⅱのうち「保険診療指数」に評価を上乗せする取り扱いを、初年度には緩やかにする方針を示しました。
指導医療官は、医療機関からの診療報酬の問い合わせに対応したり、医療機関への指導監査を行ったりする厚労省職員です。
14年度の診療報酬改定では、従来の「データ提出指数」の枠組みを大幅に見直し、名称も保険診療指数に変更することになりました。DPC対象病院から「規定の手順」を踏んで地方厚生局に出向し、指導医療官として6か月以上勤務している人がいる(1年以上の在籍が条件)などの基準を満たせば、保険診療指数の評価を5%上乗せする仕組みが、Ⅰ群に限り導入されます。
毎年10月時点の状況を病院側が定例報告し、基準を満たしていれば評価が上乗せされますが、初年度となる14年度には、地方厚生局による採用が10月1日までに決まっていれば、指導医療官としての勤務期間が「6か月以上」の基準に満たなくても評価の上乗せを認めます。厚労省では、15年度以降は原則通りの運用にするとしています。
「規定の手順」の内容は厚労省が近く取りまとめることになっていて、地方厚生局による指導医療官の募集・採用の仕方や、採用人数などが盛り込まれる見通しです。
診療報酬基本問題小委が復活へ
この日の総会ではまた、診療報酬改定の点数配分を決めるのに際し、診療報酬基本問題小委員会であらかじめ意見調整し、原案を固める形にすることを決めました。中医協総会による議論を効率的に進めるのが狙いで、厚労省では08年度診療報酬改定を議論したときの体制に戻すとしています。
基本問題小委の委員構成は09年に見直され、現在は中立の公益委員6人、支払側と診療側の委員7人ずつ、専門委員2人で、これは総会とほぼ同じ形です。このときに委員構成を見直した理由を厚労省は、「原案を取りまとめる上で、できるだけ幅広い意見を反映させる」ためとしていますが、メンバーが総会と変わらないため、12年度の診療報酬改定を議論する過程では一度も開かれませんでした。
しかし、14年度の診療報酬改定をめぐり総会での議論が長期化するケースがあったため、厚労省は、公益委員6人、支払・診療側の委員5人ずつ、専門委員1人という元の構成に戻すことを提案し、了承されました。これに伴って16年度に実施される次回の診療報酬改定では、基本問題小委が点数配分の原案をまとめ、総会で最終決定する形になる見通しです。
広報部 |
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