2021年06月16日
経営企画の主な業務として「データ分析」があります。データは経営の要とも言える経営企画の主力武器です。一方、データ分析は特殊な知識やスキルが要求されそうと敬遠しがちな人も見受けられます。本稿では、基礎さえしっかり身に付ければ、誰でもデータ分析ができるということを、その意味や目的・役割、必要な知識・スキル、具体的な業務内容や流れ、実際の事例を通じて解説します。
「データ分析なんて難しそう…」
こう考えている病院職員は少なくないのではないでしょうか。
なぜか。それは、データ分析の「手法」や「イメージ」ばかりに目を奪われ、データ分析の本質にしっかりと目を向けていないからです。冒頭のようにデータ分析に対して「難しい」と感じた方は、よく分からないデータを、よく分からない数式やツールで計算している姿を思い浮かべたのではないでしょうか。
まずは「データ分析」とは何かを考えましょう。データ分析は、「データ」と「分析」の2つの言葉で構成されています。データの意味が分からないという方はいないかと思いますが、あなたは「分析とは何か」をしっかりと説明することができますか。その本質を理解していれば、「データ分析は小難しい」というイメージを払拭できます。
広辞苑によると、分析は「ある物事を分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること」と説明されています。この説明だけでピンとこない方は、以下の図表をご覧ください。
例えば、ある病院から「○○診療科の利益を増やしたい」と相談を受けた場合、我々コンサルタントはこの図表のように考え、分析していきます。「収益を増やして利益を出した方がいいのか、費用を減らして利益を出した方がいいのか」「収益を増やすのなら、加算で増やすべきなのか、患者を増やすべきなのか」――というように、「何が論点なのか」を徹底的に分解していきます。
ここまでイメージしていただければもうお分かりになったかと思います。分析とは、「分けて考える」ということなのです。分析が必要な場面では、さまざまな課題や論点が複雑に絡み合っています。こうして絡み合った要素を分解し、何に着目すべきなのかを分けて考えることが、分析の本質的な意味であり、姿勢なのです。分析という言葉が、「分」(分ける)と「析」(バラバラに切り離す)の2つの漢字で構成されているのも理解できるのではないでしょうか。
分析をする際、しっかりと課題や論点を分けたら、それぞれの構成要素を大きく3つの視点で検証していくことが基本です。そのほかにも有効な視点はありますが、まずは最も重要で分析の基本である3つの視点をしっかりと身に付けましょう。
まずはデータの「値の幅」、つまりその値が大きいか小さいかを見ていきます。
例えば、先ほどの図表にあった「診療科の利益を増やす」を分析した結果、「患者を増やす」が論点だったとします。その際、この診療科の外来患者があまりにも少ない場合、「紹介患者を増やす」など集患が次の論点になるかもしれません。
逆に外来患者があまりにも多い場合、本来であれば午前中で終えるべき外来診療が午後まで長引き、そのことでより大きな収益を生む入院医療の病棟業務や手術に影響を及ぼしているかもしれません。その場合、次の論点は周辺の医療機関に紹介患者を戻す「逆紹介」や、手術件数増加などの入院医療の強化になります。
時系列で考えることも重要です。ある時点のデータを見ただけでは、その値が大きいのか小さいのか判断に迷う場面はよくあります。その場合はまず、時系列で確認していきましょう。
こちらも先ほどの図表で考えます。例えば、図表にある「加算を増やす」が論点だったとします。4月のある加算の算定件数が20件だったとして、この件数を遡って確認していくと、3月は20件前後と大きく変化はありませんでしたが、2月だと40件、1月も同じく40件前後でした。この場合、3月から何らかの問題が生じている可能性があります。こうした変化の気づきをきっかけとし、この変化が問題なのか、問題であるとしたら何が原因なのかを特定し、加算の算定最適化を目指していきます。
値の幅や時系列で考えても課題や論点が見えてこない場合は、比較して考えます。
例えば、自病院のみで考える場合、複数の診療科を比較したり、医師など特定の医療従事者同士の診療プロセスを比較したりします。具体的には、同じ薬剤でも診療科によって銘柄が異なったり、医師によって画像診断の利用回数が違ったりすることなどが見えてくることがあります。
さらに有効な比較は、他病院との比較です。自病院のデータ分析は、今や多くの病院で行われています。自病院データの変化は、多くの病院が気づきやすい状況にあると言えるでしょう。しかし、特定の疾患の在院日数が全国平均と比較して2日長いなど、他病院と比較して初めて分かる課題については、自病院だけに目を向けていたのでは気づくことができません。そのため、我々は他病院との比較、つまりベンチマーク分析の重要さを創業当初から訴えてきているのです(当社会社案内「私たちの想い 」)。
データ分析とは何かを確認したところで、その目的や役割について見ていきます。
前回の記事でも指摘しましたが、我々コンサルタントは病院の現場でよく「命なき分析」を見かけます。これは「データ分析をした」と言って手渡されるものの、そこに何の示唆も発見もない分析データです。
こうした「命なき分析」は、「集計」であることがほとんど。データ分析をする目的や役割を明確にすることなく、ただ誰かの指示にしたがって機械的にデータを集めていたり、「あれもこれも必要そう」と複数の論点に関係するデータをごちゃまぜにしていたりするデータです。理由はさまざまですが、明確なゴール設定がないため、分析結果に「命」が吹き込まれていないのです。
「命なき分析」をしないために重要なことは、これから行うデータ分析の目的や役割を明確にすることです。病院経営における分析だけでも、細かくみていくと分析ごとに目的や役割は少しずつ変わります。ただ、病院経営において、どんな分析でも目的や役割の核となる部分は変わりません。それは、「次のアクションにつながる気づきや発見がある」ということです。
何のための病院経営か――。突き詰めて考えれば、どんな経営課題であれ、その改善が目的です。であれば、どんな分析であっても、「何が課題か」を特定し、それを改善するためのアクションにつなげられなければ意味がありません。「何が課題か」が分からない分析や、課題が分かってもそれがそもそも改善できない分析に存在意義はないのです。
分析者の目的や役割の核は常に、「次のアクションにつながる気づきや発見」であるべきなのです。
もう一つデータ分析の重要な目的と役割に言及するとすれば、それは「組織の柱」になるということです。
病院経営における改善活動の多くは、部署ごとや部署横断型など複数の関係者がかかわってきます。同じ病院という組織に属していたとしても、部署や職種によって、関係者が目指すところや思惑は微妙に異なってきます。案件によっては、全く正反対の考えや認識の人たちに同じ方向を向いてもらうという場面も出てきます。
こうした複数の関係者で構成されるチームや組織を同じ方向に向かせる最も有効な手段は、客観的なデータです。データには、どんなに難しいプロジェクトであっても、関係者を一歩前に動かせる力があるのです。
データ分析の目的と役割まで確認してきましたが、改めてデータ分析に必要な能力とは何でしょうか。大きく2つあります。基礎知識と分析スキルです。
細かく確認していくと、それぞれの論点ごとに少なくても記事1本分くらいのお伝えすべきポイントがあります。それら詳細は別の機会に譲るとして、今回は以下で基礎知識と分析スキルで特に必要な能力をピックアップしてご紹介します。
まずは基礎知識です。分析の本質は「分けて考える」ことだと説明しましたが、ある程度の基礎知識がないと、この分ける作業ができません。最低限身につけるべきは以下の3つです。
目的は病院の経営企画に活用するデータ分析なので、最新の医療制度の基本的な理解は欠かせません。特に、診療報酬やDPCに関する知識は必須なので、基本的な制度の理解はもちろん、日々の厚生労働省の行政動向は、弊社が運営する病院経営関連ニュースサイト「GemMed」などを活用して、しっかりとチェックしていきましょう。当社が提供する情報としては、毎月さまざまなテーマで自病院のベンチマーク結果をお伝えする会員制サイト「LEAP JOURNAL」(EVE、病院ダッシュボードχを利用する病院は無料)、各種経営課題の参考になるお役立ち資料、当社が主催する各種セミナーなどがありますので、ぜひご活用ください。
経営である以上、財務知識も必要です。ただ、専門的な会計知識は必要ありません。最低限のラインとして、財務諸表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)くらいは読めるようになっておきましょう。経営企画という立場上、経営幹部や財務担当者と会話ができないと、経営計画立案などの議論に加われないからです。データ分析する際の有効な視点としても必要になります。
地域の人口動態の変化や将来推計、周辺の医療機関の動向など外部環境の情報も必要です。外部環境の情報と自病院の情報を照らし合わせて、自病院の立ち位置を決定しないと、具体的な戦略・戦術を立てられません。地域の人の流れを左右する商業施設や交通機関の情報など、病院経営に関係してくる地域の情報もしっかりとキャッチアップしましょう。
もう一つ必要な能力は分析スキルです。具体的には、正しい分析を行うために必要な考え方である「ロジカルシンキング」、同じく正しい分析を実践するために欠かせない「エクセルスキル」の2つです。
ロジカルシンキングは、物事をモレなく効率的に、戦略的に考える上で大切な思考法です。このような思考法は「フレームワーク」とも呼ばれ、その種類はいくつもありますが、まずは基本となる考え方と2つのフレームワークを身に付けましょう。
イシューとは、「最終的に明らかにすべき疑問(問い)」です。イシューをしっかりと特定できていないと、関係のない(関係の薄い)テーマに話が脱線したり、何かを調べる際、最終的な結論とは関係のない(同)情報を延々と調査・分析してしまったりすることになってしまいます。
例えば、多くの患者さんから「病院のエレベータの待ち時間が長い!」とクレームが寄せられたとします。あなたならどのような対策を考えますか?仮に、エレベータの運送効率をあげるための調査を開始したとします。一見、この調査の方向性は間違っていないように思えますが、その前に確認すべきことがあります。それがイシューです。
この場合、最終的に明らかにすべき問い、つまりイシューは「クレームを減らすためにはどうすればいいか」であるはず。であれば、エレベータの運送効率を上げるという対策だけではなく、階段の使用対象を指定して利用者の絶対数を減らしたり、待ちスペースにテレビを設置したりするなど、クレームを減らす方法はほかにもあります。
このようにイシューが不明確なままだと、分析をする前から正しい分析結果を導けないことがすでに決定されているという状況に陥ってしまうのです。
MECEは「モレなくダブりなく」を意味する最も有名なロジカルシンキングのフレームワークの一つで、ロジカルシンキングの基本とも言えます。分析の基本は「分けて考える」と説明しましたが、この分け方にモレがあると的外れな分析結果になりますし、ダブりがあると分析のやり直しなどにつながり効率性を阻害します。そのため、MECEは分析を実践する上で非常に重要な考え方の一つと位置付けられているのです。
例えば、「人間」をMECEに分けると考えます。人間を「男」と「女」に分けるのであれば、モレもダブりもありませんが、これを「男」と「女」と「子供」に分けると、モレはないがダブりが生じてしまいます。あるいは「高齢者」と「子供」というように分けても、ダブリはないがモレが出てしまいます。
その分け方はMECEか――。分析をする際は常にこの問いを念頭に置く癖をつけましょう。しっかりと正しくMECEに分けた上で、どの要素の課題を最初に改善すべきか、最終的な優先順位を付けることが正しい分析の姿勢です。
ロジックツリーも、MECEに並んで有名なロジカルシンキングのフレームワークの一つです。問題の原因を深掘りしたり、解決策を具体化したりするのに役立ちます。MECEの考え方に基づき、ツリー状に分解・整理して課題を明らかにしていきます。
例えば、「緊急入院が少ない原因は?」というイシューがあったとします。この問いの「なぜ」をまずMECEで整理すると、「救急隊からの要請件数が減っている」「ウォークイン救急外来が減っている」「入院移行率が低下している」などが考えられるでしょう。ロジックツリーではさらに、このうちの「救急隊からの要請件数が減っている」にも「なぜ」を繰り返し、「救急隊が他病院に要請を行っている」「地域での救急搬送症例が減少している」などとさらに分解していきます。つまり、MECEに分けられているかどうか、十分に具体的になっているかどうかに注意しつつ、「なぜ」を繰り返しながらツリー状に分解・整理していきます。
つまり、ロジカルシンキングの基本は、(1)イシューを押さえる(2)論点をMECEに分ける(3)ロジックツリーを使って整理する――となります。これらは普段、多くの人が、無意識に使っている場合も多いです。しかし、ここで大切なことは、意識して使えることです。意識して使えることにより、自身の潜在能力を効率的に活用できるようになります。
続いてエクセルスキルです。これも関数など無数に機能があり、「しっかりとエクセルを使いこなせるようになる」という目標を立てたものの、途方にくれてしまうという経験をした方も少なくないと思います。ただ、病院経営におけるエクセルスキルという意味では、まずはこれから紹介する「3種の神器」を身に付けてください。
まずは「VLOOKUP関数」です。これがなぜエクセルスキル3種の神器の一つなのかというと、膨大なデータの中から必要なデータを抽出し、それら複数のデータをつなぎ合わせる際、絶対に必要になるからです。
データ分析でまず必要なことは、データの整備です。病院の方からデータ提出いただく際によくあるのが「このままでは分析できない…」というデータをいただくことです。例えば、地域連携の強化をするためにデータ分析をするとしましょう。その際、最低でも患者を特定するための「カルテ番号」、症例を示す「DPCコード」、どの医療機関から紹介されたかが分かる「医療機関名」などは必要です。ただ、これらの情報は院内に散在していることが多く、すべての情報がカルテ番号に紐付いていないことは珍しいことではありません。
そこでVLOOKUPの出番です。VLOOKUPの「V」は「Vertical」の略称で「垂直(縦)」、「LOOKUP」は「探す」なので、「縦の列を探す」という意味を持つ関数です。一方、行の横から探す関数は「horizontal」の略で「HLOOKUP」と言います。まずは散在している一塊のデータの中から、分析に必要なデータのみ抽出します。
さらに散在している他の塊のデータからも必要なデータを抽出し、それらをつなぎ合わせます。こうすることで初めて、データ分析のスタートラインに立てるのです。筆者の肌感覚ですが、このデータ整備が、データ分析業務の半分以上を占めるのではないでしょうか。
整備されたデータを分析する際、そのメインとなる機能が「ピボットテーブル」です。分析とは「分けて考えること」だと何度も前述してきました。ピボットテーブルは、その分けて考える際の切り札になる機能だと考えてください。
ピボットテーブルは、大量のデータをさまざまな切り口で集計できる機能です。例えば、先ほどの地域連携の分析であれば、「診療科や疾患ごとの患者数」「周辺医療機関ごとの紹介患者数」など複数の項目別に値を集計したり、それら集計項目を入れ替えたりするなどの際に用います。大量のデータを集めた「単なるデータの集まり」を、病院の経営戦略に生かすための集計表に生まれ変わらせることができるのです。
項目ごとに平均値はいくらか、合計したらどうか、時系列で見たらどうか、診療科別に比較したらどうか――などなど、できるだけMECEにさまざまな切り口でデータを検証し、「なぜ」が出てきたらロジックツリーの考え方でどんどん項目を具体的に深掘りしていきます。そうして気付きや発見になるデータをあぶり出していきます。
求めていたデータをあぶり出すことができたら、それをどう可視化するかです。せっかく病院の経営を改善するために重要なデータへたどり着いても、その重要さが伝わらなければ改善に向けて病院という組織を動かすことはできません(院内を動かすための具体的な手順については次回の連載で解説します)。
そこで重要なことは「最適な図表・グラフ選び」です。以下の図表は主な図表・グラフが、どのような用途に向いているかをまとめたものです。
例えば、患者数の実数や推移を見るのであれば折れ線グラフを使うのが効果的ですが、患者年齢別構成比などを見る場合には折れ線グラフは向きません。構成比を見るのであれば円グラフですが、逆に実数や推移で活用するのは避けるべきです。
上記以外にも図表・グラフの種類はありますし、分かりやすい見せ方はあります。「伝えるためには図表・グラフ選びが重要」という意識を常に持ち、分かりやすい表現方法を見つけたら積極的に真似していきましょう。こうした積み重ねで引き出しを増やしていくことで、どんな情報も効果的に伝えられるノウハウが身に付きます。
ここまで紹介してきたデータ分析業務を補完・効率化するシステム活用も重要な分析スキルの一つと言えるでしょう。
手前味噌になりますが、病院経営分析ツールの「病院ダッシュボードχ」を用いれば、コンサルタントの思考やノウハウがそのままシステムに反映されているので、これまで解説してきたイシューやロジカルシンキングに基づく分析結果をすぐに知ることができます。VLOOKUPやピボットテーブルを駆使する必要もなく、図表・グラフもすべて最適なものに反映されて表示されます。
データ分析のスキルは経営企画において重要な能力であり、必ず身に付けていただきたいです。ただ、データ分析の基本的な考え方を理解し、いくつかの分析を手掛けて土地勘が付いたら、可能な範囲で積極的にシステム活用をしてください。システム活用による効率化で捻出した時間を、分析結果を軸に推進していく実際の改善活動に割くことで、よりスピーディーでより多くの課題解決の実現につながります。
次に実際のデータ分析業務の流れを確認していきましょう。以下の分析ストーリーの図表のように大きく3段階の流れになります。ここで重要なことは、しっかりと仮設を立てて、これを検証するという流れを踏むことです。
最初の現状把握では、分析の手を動かす前に、しっかりとロジカルシンキングに基づいて目的を明確にします。まずはイシュー(最終的に明らかにすべき疑問)が何かを出発点に、論点をMECEに分解し、ロジックツリーを使って整理し、絞り込んだ論点の現状を把握します。上記の図表で言えば、「○○加算の算定率が他院より低い」という現状の課題を、データで明らかにします。
前述のエクセルスキルのVLOOKUPで説明した通り、現状把握にはデータ整備などの事前準備に時間がかかることが多いですが、「病院ダッシュボードχ」のようなシステム活用をすることで、大きく時間を短縮することもできます。
その上で、現状の課題をさらに深掘りしていきます。例えば、「疾患ごとに算定率が異なる?」や「他院で算定率が高い疾患について加算の対象を広げられないか」など、課題に対する優先順位が高く、具体的な改善策が何かをあぶり出していきます。
課題とそれに対応する改善策の案を具体的なデータで示すことができるようになったら、それをどう提案するかです。前述した通り、提案は実現可能で具体的なものでなければ、実効性のある改善活動につなげられません。
詳しくは次回の連載で解説しますが、具体的な改善提案が実現可能か否か、必要に応じて現場からのヒアリングも必要でしょう。その上で、エクセルスキルの「図表・グラフ」で指摘したように、提案内容が最も伝わりやすい図表・グラフを使った提案資料にまとめ、その提案内容をプレゼンテーションします(プレゼンテーションの具体的な手順についても次回の連載で解説します)。
最後に、実際の病院経営におけるデータ分析の成功事例をご紹介します。既存の経営企画を担うチームによる事例と、新たに立ち上げられた経営企画チームの事例です。
部門横断型組織である「クリニカルパス推進室」を原動力に、年間50以上のクリニカルパスを改善するなどした事例です。
・年間50以上のクリニカルパスを改善、部門横断型組織が原動力に
院内の経営分析チームが、プロのコンサルタントレベルの経営改善提案を次々に行い、院内の改善風土を高めています。同センター立ち上げ成功要因を探ります。
・院内にプロ級の経営コンサルタント、分析チーム立ち上げ成功の条件
いかがでしたでしょうか。データ分析は「何か難しいことをやっている」というイメージが先行しがちですが、「分けて考える」という本質をしっかりと押さえて、最低限必要な知識とスキルを身に付ければ、決して特別な人にしかできない小難しいことではありません。逆に基礎がしっかりしていないと、どんなに専門的な知識やスキルを持っていても、いつまで経っても求めている結果にたどり着けません。そのため、「データ分析が難しい」と感じる方が多く、そのようなイメージが広がっているのかもしれません。
次回は今回も少し触れた伝え方や提案方法を含む「院内を動かすための『問題解決』」の考え方や手順について解説します。
連載◆コンサル講座「DPC病院の経営」
(1) 1から学ぶ「経営企画」入門
(2) 経営企画に欠かせない「データ分析」の基礎
(3) 成果を出す経営企画のプレゼンテーション術
(特別編) 検索で勝てる・勝てないホームページ、病院経営者が知るべき5つのポイント
株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。診療放射線技師。大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学修士課程を修了し、大阪大学医学部発バイオベンチャー企業、クリニック事務長兼放射線・臨床検査部長を経て、GHCに入社。地域連携、病床戦略、DPC分析を得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードχ」の設計、マーケティング、カスタマーサポートを担当。新聞や雑誌の取材・執筆多数。
広報部 | |
事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。 |
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