病院経営コラム

2024年07月03日

貴院のユニット(ICU・HCU)何が課題?フローチャートと4つの経営視点で理解する改善手順

 2024年度診療報酬改定において、集中治療室(ICU)や高度治療室(HCU)などのユニット管理料の算定基準が厳格化されたことで、今まで以上に効率的で効果的なユニット管理が求められています。本コラムでは、ユニット管理における経営改善のポイントと、全国の病院のユニット経営の現状をデータ分析した結果を紹介。コンサルタントが作成したフローチャートを用いて、自病院の課題をどのように特定し、また、特定した課題をどのようにして解決していくのか、その方法論を解説します。解決策は大きく4つあります。


ハイケアユニット(HCU)入院料、2割満たせない病院も

2024年度診療報酬改定において、ICUは「重症度、医療・看護必要度」の評価が「必要度II」(レセプト電算処理システムコードを用いる評価)のみになったことで、「実質基準値の10ポイント引き上げ」(GHCコンサルタントでMulti Disciplinary マネジャーの太田衛)と言えます。新たな重症度評価指標である「SOFAスコア」も加わりました。治療室内に配置される専任の常勤医師は「宿日直を行っていない医師」と明確化され、人員配置も厳格化されています。

HCUの看護必要度は必ずしも「必要度II」である必要はないものの、今回の改定で心電図モニターおよび輸液ポンプの管理が評価対象から外れたことで、一定割合の病院で算定維持が厳しくなる状況が予想されます(図表1)。当社が保有する1000病院超のDPCデータを用いて分析したところ、2割程度の病院が基準を満たせない可能性を示しています(図表2)。

ユニット経営の基本的な考え方

施設基準の厳格化で、今後はさらに厳しい経営が予想されるICU・HCUなどのユニット管理。ユニットは病床管理の一つであり、急性期病院にとっては心臓部とも言える論点です。ユニットの低稼働が続けば、病院経営の致命傷にもつながりかねません。

ユニットの病床管理を考える上でまずご確認いただきたいのが、病床稼働と管理料算定のバランスです(図表3)。管理料を算定できていない症例は、「ICUから出せない状態」「出し先がない」など理由はさまざまですが、この割合を時系列でしっかりと把握することが、ユニット経営の見直しでは重要です。

病床稼働の把握により、ユニット管理の考え方を示すフローチェート(図表4)などを用いて、具体的にどのような課題があり、その課題に紐づく解決策が見えてきます。

(A)対象症例の検討

ユニットで受け入れている症例が、具体的にどのような疾患なのかを確認しましょう(図表5)。その際に重要なことは、自病院のデータだけではなく、他病院のデータも含めてベンチマークすることです。「他病院と比べて自病院はこの疾患の症例が多い、少ない」などの差を確認し、ユニットに適切な疾患を受け入れているかどうか、改めて精査しましょう。

(B)在室日数の適正化

ユニット症例の在室日数が短すぎる、長すぎるということはないでしょうか。ここでもベンチマーク分析を用いることで、在室日数の適正化が目指せます。例えば、ある疾患で自病院の在室日数3日の症例が少ない一方、他病院の在室日数3日の症例が多い場合、在室日数を見直すきっかけになります(図表6)。

(C)適正病床数の検討

5~20床などICU・HCUの病床数は病院によってさまざまですが、その病床数が本当に適正かどうかの確認も重要です。一般病棟にユニット対象の症例がどれくらいあり、これらをユニットで受け入れることでどれくらい増収し、一般病棟の看護必要度がどれくらい下がるのか――。このようなシミュレーションも必要です。こうした分析は、毎月など高頻度で行う必要はありません。ただ、定期的に現状を把握し、見直しを検討することは欠かせないので、我々のような会社に分析依頼していただくか、弊社「病院ダッシュボードχ(カイ)」などをご利用ください。

(D)モニタリング

自病院のユニット管理について、フローチェートでは大きな問題がないという病院もあるかと思います。このように優秀な病院であっても、診療報酬改定などで基準が変わったり、医療現場のスタッフが変わったりなどして、いつの間に状況が変わることもあります。急性期病院にとっては心臓部とも言えるユニット管理なので、大きな問題がなくてもしっかりと主要指標の推移は定期的に確認するようにしましょう(図表7)。

以上の内容については、2024年6月20日開催のミニウェビナー「事例から学ぶICU・HCUの有効活用」で詳細をお伝えさせていただきました。ミニウェビナーではユニット管理改善の事例についても触れています。ウェビナー当日の概要を以下のお役立ち資料で掲載していますので、ご興味のある方は以下よりダウンロードしてご確認ください。



太田 衛(おおた・まもる)

Multi Disciplinary マネジャー。診療放射線技師。大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学修士課程修了。大阪大学医学部発バイオベンチャー企業、クリニック事務長兼放射線・臨床検査部長を経て、GHC入社。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、「病院ダッシュボードχ」の開発を統括する。マーケティング活動にも従事。新聞や雑誌の取材・執筆多数。