2015年11月20日
病院名 | 岩手県立中央病院 | 設立母体 | 公立病院 |
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エリア | 東北地方 | 病床数 | 685 |
病院名 | 岩手県立中央病院 |
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設立母体 | 公立病院 |
エリア | 東北地方 |
病床数 | 685 |
コンサルティング期間 | 5年間 |
「改善ポイントが瞬時に分かる」をコンセプトにGHCが開発した次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のユーザー会が10日、岩手県立中央病院(盛岡市)で開催されました。10病院から計25名が参加。病院ダッシュボードの基本的な操作方法から具体的な活用事例などを学びました。
県立中央病院での活用状況は望月泉院長が講演。DPC対象病院のうち、大学病院本院に準ずる「II群(高診療密度病院群)病院」のポジションを維持するための戦略立案に病院ダッシュボードを活用しているなどと解説しました。具体的には、II群病院の重要な指標「診療密度(1日当たり包括範囲出来高平均点数)」を向上させるため、パス見直しによる在院日数の短縮、また「外保連手術指数」向上のための軽度な術式を外来に移行するなどの取り組みが紹介されました(関連記事『岩手県中央病院、累損57億円からの大改革―「医療・経営の質」高めたデータ分析』)。
II群病院には、大きく4つの実績要件(診療密度、臨床研修の実施、高度な医療技術の実施、重症患者に対する診療の実施)を満たすことが課されています。そのため、同病院は「病院ダッシュボード」を使い、定期的に指数をモニタリングしてきました。
まずは「平均在院日数を短縮することで、1日当たりの診療密度を高める」という視点に立ち、例えば心臓カテーテル検査のクリティカルパスを2泊3日から1泊2日へ短縮した場合のシミュレーションでは、これによって診療密度が51ポイントアップことを確認。循環器科の医師らに協力を求めてパスを見直しました。また、患者の状況を鑑みながら、心臓カテーテル検査の外来実施も進めています。
また、「軽度な術式を外来に移行することで、手術1件あたりの外保連手術指数を高める」という視点での取り組みも進めました。具体的には、白内障手術で全国の平均在院日数が3日なのに対して、同病院では4日であることに着目。平均在院日数の短縮とともに、病棟に行かず処置室などで休憩して帰宅できる患者の外来シフトを推進しました。現在では、外来での白内障手術件数が入院を上回っています。
内視鏡的ポリープ切除術についても外来実施を進めることで、入院実施率を大幅に引き下げ、外保連手術指数を飛躍的に向上させることに成功しています。同病院の手術指数は、基準値(II群の最低値)の12.39に対して13―15と、高水準で毎月推移しています。ただ、さらに改善を重ねて余裕を持って基準値をクリアするため診療科別に指数を確認すると、症例数が多い消化器科、つまり内視鏡的ポリープ切除術に改善の余地があることが分かりました。
効率的で無駄のない手術室のマネジメントの観点でも、病院ダッシュボードを用いて手術室の稼働状況を確認。稼働率は60%台で、全国平均の40%台に比べてまずまずの成績ですが、曜日別に見ると、金曜の利用率がかなり低いことが分かりました。週の真ん中に位置する水曜に重要な予定手術が集中しがちなことと、週末を挟む金曜の手術を避けがちな習慣が背景にあり、こうしたばらつきを改善するため、水曜の予定手術を金曜に移行できないかなど、より効率的な運用を病院全体で検討し、改善していきました。
望月院長はまた、病院ダッシュボードのデータを活用して医師とどのように交渉しているのかを紹介。押すべきところは押し、引くべきところは引く交渉術を実話に沿って披露し、参加者の関心を集めました(関連記事『現場が気付けば現場は変わる、分析結果を伝える効果的なテクニックとは』)。
講演では、地域医療構想にも言及。望月院長は「足りない機能を補うことは、裏を返せば過剰な機能を減らすことと同義」とした上で、基準病床数を2割程度上回っている盛岡医療圏でも、急性期から回復期への転換が求められているとしました。急性期から回復期への転換については、2014年度の診療報酬改定で新設された「地域包括ケア病棟」が、中小病院はもちろん、大病院による機能分化の選択肢としても注目されていることに触れ、急性期病床数の適正化を推進する上で有効な方策の1つだと指摘しました。
そのほか同院が病院ダッシュボードをどのように活用しているかについては、ユーザー事例(『無駄のない深い分析へ導いてくれる、手間なく納得してもらえるデータを視覚的に』)を御覧ください。
この日のユーザー会では初級編と中級編も実施。初級編では、病院ダッシュボードの機能を1つひとつ解説しながら操作方法を伝えました。
中級編では地域医療構想など医療制度の動向を解説した上で、医療圏ごとのマーケットを分析できる病院ダッシュボードの「マーケット分析」を活用しながら、参加者が自分たちの医療圏の分析を実際に行いました。具体的には、「SWOT分析」のフレームワークに則り、参加者それぞれが自病院の内部環境である「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、外部環境である「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」を整理するための基本的な操作方法や分析方法を学びました。
この日のユーザー会では「マーケット分析」を活用した外部環境分析を行いましたが、その先の分析に必要な内部環境と外部環境をクロス分析(クロスSWOT)することができれば、各病院が「攻めの戦略」「縮小する戦略」「弱みを克服する戦略」「撤退する戦略」が何かということが分かり、自病院が今後、どのような戦略を取るべきかの目安になります(関連記事『自病院の強みと弱みは何か、データに基づく正しいSWOT分析の要点』)。本橋は、「内部環境分析は、各自病院に持ち帰って、病院ダッシュボードを用いて続きを実施し、ユーザー会での外部環境分析と併せてクロス分析まで実施していただきたい。また是非、各病院で経営層も含めて実施してもらいたい」としました。
広報部 | |
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