2025年02月06日
病院名 | 姫路赤十字病院 | 設立母体 | 公的病院 |
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エリア | 近畿地方 | 病床数 | 560 |
病院名 | 姫路赤十字病院 |
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設立母体 | 公的病院 |
エリア | 近畿地方 |
病床数 | 560 |
コンサルティング期間 | 2017年度~ |
コンサルティング |
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姫路赤十字病院(兵庫県姫路市、560床、33診療科)が看護業務効率化に乗り出し、一人あたり看護記録総時間60.7分削減を達成しました。電子カルテによる患者情報共有化の仕組みを構築。新システム導入など新たな費用の発生はありませんでした。費用ゼロから取り組める内容のため、他施設での活用も考えられます。
姫路赤十字病院は、地域で高度急性期の機能を担うDPC特定病院群。2023年度の主な診療実績は、病床稼働率87.5%、平均在院日数8.9日、DPC入院期間II以内の患者割合74.6%、重症患者割合44.5%という内容です。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンは同院が2006年にDPC対象病院になって以来18年間、経営のご支援をさせていただいております(詳細は『医師増員、外来に大なた 「結果として」II群に 姫路日赤病院が進める改革』参照)。
今回の看護業務効率化に踏み切ったのは、看護職員の離職率上昇が顕著になってきたため。原因を確認すると、「定時で帰れない」「業務過多による負担」などが挙げられました。
実際、当社が看護師の業務量調査(以下図表。上が取り組み前、下が取り組み後)を行ったところ、(1)患者情報収集時間が長い=図表の青グラフ=(2)看護記録の時間が長い=図表の赤グラフ=――の大きく2つの問題が発覚。新たに「看護記録ワーキンググループ」を立ち上げ、情報収集と看護記録に費やす時間を削減する取り組みがスタートしました。
具体的には、電子カルテのテンプレート機能を活用した患者情報の共有化を図る仕組みを構築しました。同院の電子カルテは富士通の「Lifemark-HX」(2023年1月更新)です。
まずは患者情報収集の効率化です。若手スタッフが実際に行っていた情報収集内容を参考に「情報共有シート」を作成。看護プロファイルと連動し、情報共有シートの情報を更新すると、看護プロファイルの該当情報が自動で更新されるようになりました(図表)。
次に看護記録の中でも特に時間がかかる入院時記録です。入院時に記録する情報の厳選と集約化を行い、入院前に入力した患者情報が入院後にも連携できるよう言語を統一し、入院後も情報が自動連携できるようにしました。石巻赤十字病院の情報マネジメント課が行っていた患者情報共有の仕組みを参考にしたとしています。
改善の結果、患者の情報収集が容易となり、一人あたり看護記録総時間60.7分削減を達成しました。スタッフからは、「患者の経過がわかりやすい」「記録が楽になった」「入院時の記録のストレスが減った」などの評価が得られました。
今回の取り組みは「第60回日本赤十字社医学会総会」の「医療の質・改善活動報告全国大会」において、「非効率にもほどがある!」の演題で発表されました。発表は看護師の芦田真知子氏、そのほか以下の構成員で構成された「姫路赤十字病院 看護記録見直し隊」による報告です。
「姫路赤十字病院 看護記録見直し隊」の構成員(左から駒田香苗看護部長、芦田真知子看護副部長、平井香恵看護師長、岡田裕之院長)
「姫路赤十字病院 看護記録見直し隊」の構成員(前列左から久保友佳看護係長、磯部直子看護係長、奥村由三代看護係長、後列左から佐藤四三管理監、住之江宏晃情報管理係長、島田健吾主事)
「姫路赤十字病院 看護記録見直し隊」構成員
〇平井香恵(看護師)、小嶋奈津子(同)、久保友佳(同)、磯部直子(同)、奥村由三代(同)、駒田香苗(同)、住ノ江宏晃(事務職)、島田健吾(同)、佐藤四三(医師)
なお、今回の取り組みは看護管理職向け専門誌「看護部長通信」(2024年12月・2025年1月号、詳細はこちら)にも掲載されました。
冨吉 則行(とみよし・のりゆき) | |
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コンサルティング部門シニアマネジャー。早稲田大学社会科学部卒業。日系製薬会社を経て、GHC入社。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。 |
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