2012年10月26日
病院名 | 社会医療法人 敬愛会 中頭病院 | 設立母体 | 民間病院 |
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エリア | 九州地方 | 病床数 | 355 |
病院名 | 社会医療法人 敬愛会 中頭病院 |
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設立母体 | 民間病院 |
エリア | 九州地方 |
病床数 | 355 |
コンサルティング期間 | 1年5か月 |
沖縄で思い浮かべるのは?
沖縄と聞いてすぐに思い浮かべるのは……。青い海、ちゅらさん、泡盛、沖縄そば、ゴーヤチャンプルー、ラフテー、島らっきょう、海ブドウ。
太平洋戦争末期、本土防衛の捨て石となって激しい地上戦が行われた痛ましく悲しい歴史を持つのに、沖縄の人々の優しさとおおらかさはどこからくるのでしょうか。沖縄は三世代同居が今も多く、隣近所のおじいやおばあの面倒を家族のように見ることも生活の一部になっています。
〝ゆい〞と呼ばれる温かい「共助」が、コミュニティーの中で自然に培われているのです。
沖縄の病院の特徴の一つとして、民間病院が非常に元気なことが挙げられるでしょう。100人を超える医師を抱える300床規模の中規模病院が、平均在院日数10日前後で急性期医療をばりばり展開しています。そんな民間病院の一つ社会医療法人敬愛会中頭病院による手術の外来シフトを紹介しましょう。
中頭病院は本島中部地区(人口約46万人)で2004年に地域医療支援病院の認定を受け、09年2月には救急、周産期、へき地医療など通常よりも公益性の高い医療をカバーする社会医療法人に県内で初めて認定されています。GHCでは同病院に10年ほどコンサルティングを提供してきました。
同病院では「断らない救急」を合言葉に、年間5000台を超す救急車を受け入れています。満床の日も多く退院が1000症例を超える月もあり、2014年10〜12月の平均在院日数は11・8日、DPCの入院期間Ⅱを超える症例割合は23・2%にすぎず、在院日数は極限まで絞られている状況です。
化学療法、大腸・直腸の内視鏡的ポリープ切除術などは既に外来での実施がメーンですが、依然としてベッドが不足しています。つまり、需要が供給を大きく上回る状況なのです。
中部医療圏の人口動態を見ると、人口は2035年までは緩やかに増加する見込みで、同年の入院需要の総数は、10年のなんと1・7倍にまで膨らむとみられています。特に、呼吸器系と循環器系疾患の入院需要は2倍前後になると予想されています。これらから、将来的に中頭病院では、今よりもたくさんの急性期患者を受け入れる必要があることが分かりました。
急増する医療ニーズにどう対応するか–。中頭病院にとって、その答えの一つが「日帰り手術センター」の導入でした。地域性もあるのか、患者も外来手術の希望が多いようです。安全に治療できるなら手術の外来移行は自然と言え、しかも患者側にもメリットがあるので、外来手術センターの立ち上げ事業は中頭病院にとって満場一致での合意事項でした。
外来シフトはまず、3日以内で退院可能な手術を対象にすることにしました。その結果、在院3日以内の症例が8〜9割を占める白内障、鼠径ヘルニア、胆石が候補に上がり、主な対象にまず白内障の手術を選択しました。
試算では、白内障の手術を外来に移行しても、病床稼働率に与える影響は小さくとどまる見通しでした。慢性的な病床不足を解消するには日帰り手術の拡大は不可欠で、今後も対象の手術を増やす予定です。
日帰り手術センターは2013年9月にオープンしました。手術室には入院用のものをそのまま利用し、同じフロアにあった事務棟を移転してそこにリカバリー室を設けています。まずは白内障の手術症例の半分程度を外来に移行し、少しずつ拡大を進めました。水晶体再建術の外来での実施件数は、当初の月10件前後から、現在では40件に迫る状況です。
日帰り手術の導入によって中頭病院には、ある〝フリンジ・ベネフィット〞がもたらされました。それは、DPC特定病院群(DPC病院Ⅱ群)の実績要件の一つ「手術一件当たり外保連手術指数」の向上です。同病院では、この値が2012年度当初は13・93で、当時の基準値の14・69に約0・8足りませんでした。しかし、白内障に加えて鼠径ヘルニアの全症例を外来にシフトさせた場合の値をシミュレーションすると、病院全体でそれぞれ「1・0」「0・4」のプラスになり、当時の基準値を簡単にクリアできることが分かりました。まさに一挙両得です。
広報部 | |
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