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2008年03月21日

Building a mandate for change: the TIME IS NOW

メイヨークリニックシンポジウム vol.3


前回に引き続き、シンポジウム2日目の様子です。 プレジデント兼CEOであるDr. Corteseの熱弁に続くセッションは、”Building a mandate for change: the TIME IS NOW”をテーマにしたパネルディスカッションでした。モデレーターは、元NBC NewsアナウンサーのMr. Tom Brokaw。元アナウンサーだけあって、パネリスト達の意見を効果的に聞きだし、ファシリテートする手腕は圧巻です。またパネリストも、Consumers Unionのプレジデント兼CEO・James Guest、バージニアメイソンメディカルセンターのプレジデント兼CEO・Gary Kaplan、Institute for the FutureのIan Morrison博士、ハーバードのMichael Porter博士という、やはりビッグなメンツです。 さて、ディスカッションは「アメリカで医療改革は緊急事態だ。医療改革をするに当たって問題は山積しているが、それは乗り越えられない障害ではない。我々は、貧困層に対しても裕福層に対しても必要な医療を提供する社会的責任がある。」というMr. Tom Brokawによる緊急メッセージから始まりました。

満足度は?

上図(棒グラフ)を見てください。これは、2007年12月に1018人を対象に行った、アメリカの医療に対するアンケート結果です。(a)非常に健康 、(b)健康、(c)不健康の3つのグループ別に満足度を尋ねています。これを見ると、全体の過半数が少なからず不満を持っていて、特に(b)(c)のグループに多いことがわかります。

無保険者の勤務状況

図(円グラフ)は、2005年度における、65歳未満の無保険者のうち「就業者の無保険者」にフォーカスした場合の雇用状況を表した内訳です。驚いたことに、無保険者とはいっても、過半数が「年間常勤」。仕事をしていても、健康保険に加入していないというわけです。日本では考えられません。 このほか、議論のポイントとなった点は以下のとおりです。

パネルディスカッションのポイント ?Ensure everyone receives medically necessary and appropriate care.  (必要で適切な医療を誰もが受けられる仕組み) ?Make sure every hospital and ambulatory care center is safe.  (入院および外来治療が安全であることを確認) ?Redesign payment systems to reward outcomes and support primary care and prevention.  (プライマリー・ケアや予防医療の結果を評価する支払い制度を再構築) ?Employers, government and individuals must share responsibility for financing the system. People need to be able to move seamlessly from one system to another without loss of benefits or coverage.  (就業者、連邦政府、そして個人が医療にかかる費用に責任をもつ。現行の制度から新しい制度に移行する際には、現行で受ける医療保険の恩恵を失ってはいけない) ?All Americans must be guaranteed their choice of doctors and hospitals.  (全てのアメリカ国民が医師および病院の選択肢を保障されるべき) ?Long-term care must be fully integrated into the system.  (慢性期になる長期医療は医療システムに統合されるべき)

いかがでしょうか。「医療の質」「コスト」「アクセス」という3つのポイントが問題になっている点は、アメリカでもやはり同様ですね。ただ、「就業者、連邦政府、そして個人が医療にかかる費用に責任をもつ」という表現は、重要である一方で、日本ではまだ聞かれないことかもしれません。


モデレーター: Tom Brokaw (元NBC Newsアナウンサー)

パネリスト



左から… ・James Guest, President and CEO, Consumers Union ・Gary Kaplan, M.D., President and CEO Virginia Mason Medical Center ・Ian Morrison, Ph.D., Institute for the Future ・Michael Porter, Ph.D., Harvard

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広報部
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事例やコラム、お役立ち資料などのウェブコンテンツのほか、チラシやパンフレットなどを作成。一般紙や専門誌への寄稿、プレスリリース配信、メディア対応、各種イベント運営などを担当する。