2007年02月21日
独立行政法人国立病院機構 熊本医療センター●野村一俊 統括診療部長
電子化・地域連携が課題 1998年にクリティカルパスを導入し、翌99年には連携パスの開発に着手したという、日本のクリティカルパスの先駆的存在である熊本医療センター。これまでに作成したのは400種類超、使用率は60%近くにも及ぶそうです。そんな同センターのパス導入を推進してきた野村統括診療部長と片渕外科部長のお2人に、クリティカルパスに関する課題や可能性について聞きました。
――クリティカルパスの活用に関して、先生が今考えている課題を教えてください。 現在考えている課題は、電子化と地域連携の2つ。まず、一つ目ですが、パスの電子化は実は難しいんです。クリティカルパスを「オーダーのみ」と考えれば従来のシステムでも対応できますが、本来は、PDCAサイクルのように検証・評価という機能が必要。ところが、それに対応できていません。そのため、電子化したことによって、紙の時代に比べて“押し返された”感があるんです。
でも、論理的にうまく仕組みが作れれば、電子化のメリットは大きい。たとえば、達成目標に対する成否の自動判定ができたり…。現在、システムを切り替えているところで、今月中には考えている機能をおおよそ備えたものになる予定です。
――地域連携のほうは? がんや循環器、糖尿病など、地域で診なければいけない疾患がありますよね。ところが、複数の医療機関で診るということは、経過がわからなくなる可能性もあります。そこで必要なのが、医療機関間での情報共有と、患者・家族との情報共有。そのためには、やはり伝達手段として電子化が必要になってくるんです。でも、電子化にはコストがかかりますからね…。すべての医療機関がすぐにできるというわけでもありません。まずは、ネットワークをつくってパスに則ってやるという仕組みを構築して、それからIT化を…。
また、2006年度の診療報酬改定で大腿骨頚部骨折についての連携パスを評価する仕組みが設けられましたよね。次期改定では先ほど挙げた疾患など、対象疾患が増えるでしょう。厚生労働省も対象疾患を増やしたいでしょうし、実際、連携パスの利用は非常に大きな効果があります。
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